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【佐世保同級生殺害事件】 悲劇を起こし、貪り食う ― 政府とコラボするマスコミ、長崎、カメリア、自作自演の宮田とその他大勢の精神医療従事者たち

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小児精神疾患の積極的なあぶり出し
( 原文:http://www.madinamerica.com/2014/07/proactive-pursuit/ )

二部構成第一部 (その1)

子供や若者を対象に、心理テストや電子機器を用いた情報収集・監視が広がっている。

カナダ、ブリティッシュコロンビア州では、政府出資による家庭医や学校職員のための新しいメンタルヘルス研修プログラムにより、すべての子どもと若者を対象にした精神障害のスクリーニングが推し進められている。
しかしこのプログラムは、基本となる科学的エビデンスが省かれ、医学的教育というよりもむしろ、薬の販売促進であり、重大な潜在的有害性が軽視されているとの批判がある。
にもかかわらず、こうしたプログラムが、カナダ、米国を中心に広がりを見せている。
筆 ロブ・ワイポンド (ROB WIPOND) MIA記者 2014年7月7日


2010年、自殺したブリティッシュ・コロンビア州のティーンエイジャー、フレイア・ミルンの検察医による報告書には、メンタルヘルスの教育プログラムを拡大し、精神衛生上問題となるリスクのある生徒をさらに積極的に特定し、フォローすることが推奨されている。
しかし、報告書全体の内容を見てみると、これらの最終的な推奨には、どこか得体の知れないところがある。

学校では、成績の良い生徒のためのカリキュラムが加速する一方で、フレイアは16歳の頃、すでにその6年前から断続的に不安や自殺の感情と闘っていた。
精神科医やカウンセラー、またセラピストとの関わりは、このときすでに長期に及んでいたのである。
2010年1月中旬、フレイアは学業に挫折し、不安による身体的症状が出るようになる。
彼女はこのとき初めて薬 - ベンゾジアゼピン系鎮静薬クロナゼパム- の服用を仕方なく始めている。
若齢成人に使うことは承認されておらず、気分や行動の異常な変化、自殺念慮の高まりが警告されている薬であるにもかかわらず、フレイアや母親に対して精神科医からはそのような警告はされていない。
母親のシェリー・ミルンは、娘の行動が異常で、悲しみと不安が交互に押し寄せてわけのわからない状態になったかと思うと、突然軽い躁状態に変わることを、早い時期から心配し、医者に訴えていた。
精神科医はフレイアを診察することもなく薬を増量し、ロナゼパムを同一処方で二度再投薬。
服薬を開始してわずか3週間目の2月2日、フレイアはコデインをオーバードースし、ポケットに大きな石を詰め、カナダ西部のビクトリア沿岸で極寒の海に入水したのだ。
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フレイア・ミルン

このフレイアの自殺はメディアも大きくとりあげたが、当時こうした状況はほとんどの人にとって謎であった。2013年の3月、検察医による報告書が公開され、明らかになったものである。
報告書からわかるのは、フレイアに施された治療の失敗、あるいは彼女に処方された薬の危険性に関しては、何らの勧告もないことである。
それどころか検察医は、州の学校職員による生徒のEメールや集会のメモ、その他「生徒に関するあらゆる情報」の収集、さらには「精神疾患と診断され、メンタルヘルスの問題があるとされるすべての児童や若者をその履歴上で記録し、注意を促す新しい制度」によって、より包括的な「学生情報システム」を開発すべきであると勧告しているのだ。
その上さらに検察医は、メンタルヘルス教育は「全教員、全カウンセラーを対象に、毎年行われる生涯教育の一部とすべきである」とする。
つまり、メンタルヘルスシステムがフレイアを救えなかっただけでなく、教職員へのメンタルヘルス研修を強化し、学校はメンタルヘルスに懸念のある生徒をより集中的にあぶり出して注意を向け、追跡、監視すべきであると、検死官は勧告したのである。

この状況は、このフレイアのケースだけではない。
人口わずか8万人のコミュニティーであるビクトリアでその年注目を集め、慎重に調べられたケースは他にもある。
2010年10月、16歳のヘイデン・コゼルツキは強い不安を経験し始めたことから支援を求めた。
教師に連れて行かれた病院で、彼女は性的虐待を受けてきたことを告白。
その後2か月の間、時に自らの意志で、また時には強制的に、彼女は病院と若者向けメンタルヘルス施設を行き来し、若年者には使用の認められていない幾種もの向精神薬を服用、そして首を吊った。
検視にあたった陪審員から勧告されたのは、集中的なメンタルヘルス・スクリーニングと追跡調査、子供や若者と日常的に接触するあらゆる職種に対するメンタル・ヘルス研修の徹底である。
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同年、ビクトリアの10代の少女、キンバリー・プロクターがレイプされ、殺されるという事件が起きた。
家族は数万筆の署名を集め、潜在的な危険性のある精神的に不安定な子供を積極的に見つけ出し、カウンセリングや精神科の強制治療を受けさせる「脅威評価プロトコル」を学校側に義務づけるように政府に働きかけた。
しかしキンバリー・プロクターを殺害した二人の少年には、事件前から暴力的であったことを理由に学校やソーシャルワーカー、またメンタルヘルスの専門職らが長年にわたって関与してきたことが裁判文書に記されている。  

メンタルヘルス・ケアと関わりを持ちながら、自殺や他殺に及んだこうした若者による同様の事件は、アメリカやカナダではとても多い。
そのほとんどは、多くの要因がからむ複雑な状況で起こっている。
しかし、やはりそこには疑問が浮かび上がる。
メンタルヘルス専門家の発言力や財源を拡大し、アクセスにつなげるための正当化に、なぜこのような悲劇が、しかも明らかに治療の失敗であるものが、頻繁に使われるのだろうか。
治療の失敗、またこうした重大な問題で精神科の一般的な治療が負の役割を果たした可能性を、なぜもっと幅広く調査しないのだろうか。
精神医療システムはさらに資金と権力を得る価値あるものであり、事実に沿って説明責任を果たす義務は免除されているとする、何か特別な理由でもあるのだろうか。
 
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トロント教育委員会、生徒が学校で体験するあらゆることにメンタルヘルスを確実に組み入れることを目指し、学校職員全員に対してメンタルヘルス研修を施す4か年計画を発表
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こうした死亡事件が起こり、続いてその再発予防のためには何が必要なのかが問題となる中、ブリティッシュコロンビア(BC)では、家庭医や学校職員を対象に、メンタルヘルス・スクリーニングをすべての子供や若者に促す研修プログラムの実施に州政府が乗り出した。
同様のプログラムは他の州でも実施されている。
それは国家戦略の一つとして実施される「カナダにおける学校をベースにしたメンタルヘルス」と呼ばれるプログラムで、連邦政府が創設した精神衛生委員会が推進する取り組みである。
例えば今年、カナダ最大の学区の一つであるトロント教育委員会は、生徒が学校で体験するあらゆることにメンタルヘルスを確実に組み入れることを目指して、学校職員全員にメンタルヘルス研修を施す4か年計画を発表した。
これはカナダで最も著名な児童青年精神科医であるダルハウジー大学のスタン・カッチャー医師が主導する類似のプログラム、"ノヴァ・スコシア"をモデルにしたもので、カッチャー医師自身も精神衛生委員会の重要なアドバイザーとなっている。
委員会報告書にあるように、これは「児童青年精神衛生と学校の国際同盟( International Alliance for Child & Adolescent Mental Health & Schools)や、「学校メンタルヘルスのためのアメリカ-カナダ 同盟 (US-Canada Alliance for School Mental Health) を旗頭とする、順次北米全土に拡大を目指した取り組みの一環である。
BCのプログラム用資料、講演、補助教材は公開されており、入手可能であることから、精神科医がどのように家庭医や学校職員を研修しているのかを、これら資料からうかがい知ることができる。
批判家は、さらに追及を深めれば、このプログラム用教材が、現在主流となっている精神保健制度が、明示のない何らかの理由によって科学的な説明義務を免責されていることを示す確かな証拠になるものであるとする。

正しいときより間違うことのほうが多いスクリーニング
プレス・リリースによると、『子供や若者のための実践的サポートプログラム (Practice Support Program for Child and Youth Mental Health (PSP-CYMH) )』はBC州政府の保健省と州医師会 (Doctors of BC) の共同イニシアチブとなっており、その主役を務めるのはBC子供病院のヤナ・ディヴィッドソン医師とともにスタン・カッチャー医師である。
家庭医は、メンタルヘルス・スクリーニングテストによってリスクのある(at risk)子供や若者を見つけ出して専門医療者に紹介する、もしくはADHDや不安症、そしてうつ病の早期介入治療を行うように教育される。
10.5時間の研修に参加し、自分の子供患者二人にスクリーニングを受けさせれば、医師達には2600ドルが支払われる。
昨年 この研修を受けたBCの医師数は600名以上。
PSP-CYMHの運営責任者によれば、さらなる取り組みの拡大がこの秋に予定されており、問題発生を事前に予防できる「ゲート・キパー」として学校職員を教育し、子供たちにスクリーニング・テストを受けさせ、治療につなげるとする。
 
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「もう何年も前から製薬企業はスクリーニングに関与することが非常に重要であると認識している。
そこで製薬企業は、企業の人間をこの種のスクリーニング・ツールを開発する委員会組織に送り込んできた」とカッセルズ。
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PSP-CYMHの教育教材は、その多くがカッチャー医師、あるいはBC子供病院の精神科医が他の著者とともに共作したものである。
プログラムは、全編を通して「エビデンスに基づく」と喧伝されている。
しかしこのプログラムには科学的な問題があるとする批評家は、スクリーニング・ツールから教育教材にいたるまで、そこかしこに科学的な問題が蔓延していると批判する。
ビクトリア大学薬事政策研究員であり"Seeking Sickness: Medical Screening and the Misguided Hunt for Disease"(病気探し:医学的スクリーニングと見当違いの病気狩り)の著者であるアラン・カッセルズは、「PSP-CYMHが使うスクリーニング・ツールの開発には製薬会社が関与する。これはアメリカの"TeenScreen"で行われたことと同様だ」と明確に批判する。
アメリカの"TeenScreen"というのは、国民の抗議から裁判に発展し、連邦政府が製薬会社との金銭的繋がりを捜査、と同時に、子供への投薬の割合が増大していることを受け、2008年に終了したプログラムである。
カッセルズは、例えばPSP-CYMHの先頭に立ち、またうつ病スクリーニング・テストの著者でもあるカッチャー医師には、少なくとも製薬会社11社との繋がりがあることを、科学雑誌の利益相反開示情報からつきとめている。
「製薬産業はずっと以前からスクリーニングに関与することは極めて重要であることがわかっていた」とカッセルズ。
「そこで彼らは、この種のスクリーニング・ツールを開発する委員会組織に企業の人間を送り込んできたのだ。」
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アラン・カッセルズ

CYMHは、ワクチン接種や定期健康診断でクリニックを訪れるすべての子供や若者に対し、メンタルヘルスのスクリーニング・テストを施すことを医師に求めている。
「積極的であればあるほど良いとするのがこの考えだ」とカッセルズは言う。
しかし、質問項目が、「将来に不安はありますか」、「知らない人の前では緊張しますか」、「だるいと感じることが多いですか」という、メンタルヘルス・スクリーニング・テスト ― PSP-CYMHには実際に子供へのこうした質問が並ぶ ― では、必ず非常に多くの[偽陽性]を発生させることになるのだと。
「これはきわめてあいまいで、まったく使い物にならないもの。
あらゆる種類の人間らしい感情の範疇にあるものを取り上げ、それを数値化しようとするのは、馬鹿のやることだ。
そんなものはいくらでもごまかしがきく」
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PSP-CYMHの教育教材では、小児不安関連障害評価尺度(Screen for Child Anxiety Related Disorders (SCARED))は「優れた」感度と特異度が実証されていると明言している。
しかし、科学文献には、たとえ子供や若者の10%に不安障害があると多めに仮定しても、SCAREDの査定では、常にその3倍もの子供が不安障害にされるのが明らかとある。
同様に、カッチャーが作成した「カッチャー思春期のうつ病尺度」は、この種のツールとしては「感度・特異度が、それぞれ92%・71%で、この組み合わせは他の自己評価による手段では達成できない」と胸を張っている。
だが、カナダ医学会誌に掲載された2011年のレターのやり取りの中で、この種の数字は比較的発生率の低い疾患のスクリーニングに関する評価数値を理解していない多くの医師やメンタルヘルスの専門家ですらが判断を誤るものであると示されているのだ。
PSP-CYMHの資料データに明確な説明がないのは、カッチャーのテストが若者の一般的なうつ病想定罹患率4%を使うことで、正しい評価の7倍の頻度で誤った評価になることである。
つまり、千人の若者をスクリーニングすると、279名はうつ病「偽陽性」になる計算だ。
高いスコアは、カッチャーの評定尺度にあるように、「うつ病の可能性がある」ということかもしれないが、それはただ、子供が教室はどれくらい混雑していると思っているか、子供はどの程度周囲の問題を気にしているか、子供がどのくらい誘導尋問に引っかかりやすいかの尺度ではないのかと、というのがカッセルズの指摘である。
したがって、このメンタルヘルス・スクリーニングは、すでに過剰な税金が使われている今のメンタルヘルス制度に、支援を求めてもいない人たちを詰め込むことで、さらに負担を増大させることになるのは誰にでもわかることだと、カッセルズは言うのだ。
そして「断言してもよいが、スクリーニングを受けた子供たちのほうが、受けていない子供よりも結果的に良い状態にあることを示すエビデンスはどこにもない」 と。
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「わかっているのは、こうしたスクリーニング・ツールによって向精神薬の使用が激増していることだ。
しかもこれは、実際に評価することのできる結果だ。
スクリーニングを受けた結果として、子供たちは本当に良い状態になるのか、学校でよりうまくやれるのか、より高い確率で卒業できるのか、より幸せになり、そしてより充実した人生を送れるのか、私たちには何一つ解明できていないではないか。」

こうした批判は、カッセルズだけではない。
カナダ予防医療対策委員会 (the Canadian Task Force on Preventive Health Care) は2013年6月のカナダ医学会誌上において、「成人におけるうつ病スクリーニングの有効性を示す質の高いエビデンスは見つからなかった」として、プライマリー・ケア施設におけるいかなるスクリーニングも、行わないことが推奨されている。
同委員会は、また、高い偽陽性率とそれによる不要な治療、ラベリングとスティグマから生じる有害性が「引き続き懸念される」と述べ、これらの潜在的な有害性を検証した研究がまったく見つからなかったのは遺憾であるとしている。
同じく2009年には、米国予防医学専門委員会 (the US Preventive Services Task Force) も子供のうつ病スクリーニングを支持するエビデンスは見当たらなかったとし、若者を対象としたうつ病スクリーニングは、非薬物療法がすぐに利用できることが確保されない限り、推奨されないとした。
米国専門委員会も、スクリーニングが子供や若者のメンタルヘルスを改善したかどうかを評価する試験は一つとして見つけることができなかったのだ。
2014年、また同委員会は、自殺予防スクリーニングにもすべて信頼性がなく、「今あるエビデンスでは、有益性と有害性のバランスを評価するのに不十分である」と結論している。
・・・・・・つづく


『精神医療システムはさらなる資金と権力を得るだけの価値あるものであり、事実に沿った説明責任を果たす義務は免除されるような、何か特別な理由があるのだろうか?』

その一つの答えは、『コミュニティメンタルヘルス―新しい地域精神保健活動の理論と実際』(ロレン・R. モシャー著)の以下の文章に描かれているが、結果として「家庭生活の基本構造をさらに腐食」したのであれば、そうさせる必要があり、精神医療がダブルスタンダードで担ってきた「保安処分」と「監視」が、さらに姑息に拡大されている可能性もある。


病院と経済 (『コミュニティメンタルヘルス―新しい地域精神保健活動の理論と実際』より引用)

人間のありふれた問題を医学の対象とすることが、経済的な理由により推進されている。1840年代に人道主義に基づいて始まった改革は、まずは隔離拘束に堕し(1870~1960)、1970年代には人間性を奪い、脱文脈化(日常生活の社会的枠組人から逸脱)させる成長産業へと転落した。60年から70年代にかけては成人のための病棟が増え、80年代にはそれを青年期の患者が占めるようになった。病院産業は新たに青年期の患者を餌にして肥え太ったのだ。上流も含め、中産階級の家族内の問題は、欠陥のあるひとりの青少年個人の問題に帰せられることとなる。

精神医学のシステムは、親たちを巻き込んで、面倒で厄介な問題行動を「病気」に仕立て上げたのだ。

不幸なことに、青年期の一群を新しく患者の仲間にいれた結果生じた問題については、誰も特別に関心を払った様子はない。その問題とは、1-将来、公衆衛生の精神保健システムの対象になる新たな世代の収容者を作り出し、2-米国の家庭生活の基本構造をさらに腐食することになったことである。

米国の家庭に向けた精神医学からのメッセージははっきりしている。「あなた方よりもっと上手に、子どもさんを立ち直らせる方法を知っています。お子さんをオープンしたばかりの我が思春期病棟に預けなさい( 保険に加入しているか、お金があるなら)、そうしたら、お子さんたちを「修理して」お返ししますよ」。

しかし実際には、そうした子どもの「家族」に介入することこそ、治療には効果があり、かつ安上がりなのである。コミュニティー・メンタルヘルス計画においては、児童や青年を精神病院に収容させないという方針を最優先で確立すべきである。なぜなら、児童や青年には、入院に伴う周知の好ましくない影響があるからである。

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7月4日 記念日に添えて: 子供や若者に激増する向精神薬処方 - これは学校側からのプレッシャーなのか 

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Longitudinal trends in the dispensing of psychotropic medications in Australia from 2009-2012: Focus on children, adolescents and prescriber specialty.
(オーストラリアにおける2009年から2012年の間の向精神薬調剤の長期的傾向: 子供、若者、および処方者の専門領域に焦点を合わせて)
Aust N Z J Psychiatry. 2014 Jun 13. pii: 0004867414538675
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24927734

アブストラクト
目的: 2009年から2012年までの間の抗うつ薬、抗精神病薬、およびADHD薬物療法の調剤における長期的傾向を患者の年齢、性別、および処方者の専門に従って調べた。
特に小児、および若齢成人に対する向精神性処方の変化傾向に関心を持った。

方法: 政府助成による抗うつ薬、抗精神病薬、ADHD用薬剤の調剤データを、厚生局の維持するデータベースから入手。
結果を処方箋の数で表した。

結果: 4年の研究期間にわたり、抗うつ薬、抗精神病薬、およびADHD用薬剤の処方は、それぞれ16.1%、22.7%、26.1%の全体的増加を示した。
最も急速な割合で増加したのは10-14歳の小児に対する抗うつ薬と抗精神病薬の処方(それぞれ35.5%と49.1%)で、ADHD用薬剤の処方は20-24歳で最も急速に増加していた (70.9%)。
幼少期には調査した薬物類すべてにおいて男子への投薬が多かったが、成人への抗うつ役の処方は、その三分の二が女性患者に対するものであった。
最も一般的に処方された抗うつ薬は年齢によって異なり、以下の通りである:
フルオキセチン(3-19 歳)、デスベンラファキシン(20-24歳)、ベンラファキシン(25歳以上)。
リスペドリンは最も一般的な抗精神病薬として15歳未満の小児に投与され、若者と若齢成人(15-24歳)にはクエチアピン、成人にはオランザピンが処方された。
メチルフェニデートは、25歳未満の人に対する最も一般的なADHD用薬剤で、成人にはデキサンフェタミンが最も一般的であった。
抗うつ薬、抗精神病薬のほとんどはGP (訳者注 (専門医ではなく)一般開業医、一般医) によって処方され(それぞれ89.9%と70.6%)、ADHD用薬剤の大部分は小児科医(59.1%)による処方であった。

結論: 2009年から2012年の向精神薬処方の激増には特定年齢層の注目すべき特異的傾向がある。
治療指針の一般的順守は明らかであるが、抗うつ薬セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)処方の急増、中程度の精神的苦悩のある人に対する過剰投薬、また確実なリスクとベネフィットのプロフィールがないにもかかわらず強力な向精神薬が若年層に使われることが増ふえていることには懸念が存在する。   

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このオーストラリアと「寸分違わぬように」と、西田淳志氏(東京都医学総合研究所)や岡崎祐士氏(都立松沢病院)らが中心となり、三重県津市、豊里中学校の生徒を対象にして行われたのが精神医療の早期介入実験である。

事の経緯が丹念にまとめられた力作、「ルポ 精神医療につながれる子供たち」(嶋田和子著)によると・・・


「とくに三重県津市では、学校をベースとした早期介入システム構築のための試験が市内の中学校(市の教育委員会を通して厚労省に推薦されている)を舞台に平成19年から行われ、このシステムは「津モデル」と呼ばれるようになった。
 それは研究報告書によると「アウトリーチ型コンサルテーションによる学校精神保健支援」といわれ、実際には次のような流れで行われた。
 まず早期支援チーム (三重県立こころの医療センター内に設立されたユースメンタルサポートセンターMIE内に設けられている) からPSW(精神科ソーシャルワーカー) が学校に派遣され、養護教諭の保健室活動を支援、学校側が設けた特別支援委員会 (校長、教頭、養護教諭、特別支援コーディネーター、スクールカウンセラー、学年担当者、スクールソーシャルワーカーによって構成) にも参加して、要支援の子供たちの把握と相談を行う。医療支援が必要と判断された場合は、親権者の同意を得て、ユースメンタルサポートMIEの多職種支援チーム(医師、PSW、心理士、看護師などで作られるチーム)が訪問相談、診療を行う。つまり、医療関係者が学校に出かけていく(アウトリーチ)という方式である。
 また、卒然授業としてメンタルヘルス啓蒙授業を生徒に対して行い、さらに教師向けの啓発・研修、父母への後援会等も実施している。」

「学校をベースとした「津モデル」において、注目されたのは保健室である。研究では、まず何らかの不調を訴えて保健室にやってくる生徒に対して、そこに常駐する精神保健福祉士(PSW)がさりげなく介入し、心の不調を聞き出した。そして、これはと思う生徒に対して、PLEsの質問項目や、PRIM-J(「心のリスクチェックシート」と呼ばれる一種のスクリーニング)を使用して評価を行う。その後、臨床心理士と看護師による面接、医師の診察、早期介入チームによる継続的なフォローアップという手順で、精神医療につながれることになる。
 おそらく、この手順が今後学校で増えていくことになるのではないだろうか。・・・」
KAKOsan



その後日本では「学校に精神科医を常駐させよう」と、話はさらに進んでいるようだが、子供や若者に対する精神科薬剤の乱処方がすでに大きな社会問題となっているアウトリーチ発祥の地、イギリスからは今後の展開を予想する興味深い「言い訳」が聞こえてくる。

"Doctors under pressure to label bookish children as mentally ill" ― THE TIMES
「本好きの子供には精神疾患のレッテルを ― プレッシャーのかかる医師たち」
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http://www.thetimes.co.uk/tto/health/news/article4125848.ece (オリジナル 有料)

http://nhsreality.wordpress.com/2014/06/23/doctors-under-pressure-to-label-bookish-children-as-mentally-ill/ 



「新たに英国王立精神科医学会 (The Role of the Royal College of Psychiatrists in Psychiatry ) の会長に就任したProfessor Sir Simon Wesselyによると、「リタリンやプロザックなどの向精神薬が大量に乱処方されてきた責任は精神科医にあるのではない。

精神科医はこうした薬のリスクを十分承知しており、慎重に処方しようとする。しかし、それを妨げるのは親や教師、あるいは支援団体からの「精神疾患」の診断を求める強いプレッシャーである。

抗うつ薬やADHD薬の安易な処方が激増したのは、社会がそれを求めたからであり、本当に薬によってベネフィットを得る人が求めた結果ではない。

10年でADHD薬の処方が3倍、抗うつ薬が2倍に膨れ上がっているが、これは単に病気が増えたとか、うまく病気を発見できるようになったからでという理由では説明がつかない。

人の正常な問題の医療化は医師たちが起こしたものではなく、レッテルをもらうことで利益を得る患者、家族、学校教師、家族会などの支援団体・・・つまり社会が求めた結果である・・・・

かつては「本の虫」とか「変わっている」、「恥ずかしがり屋」と呼ばれた正常な子供たちまで医療の対象にすることに反対しているのは精神医学である。

学校は「問題児」を抱えてもどうにか対処するしかないが、「ADHD」という診断さえつけばアシスタントが付く。問題児が多ければ多いほどリソースが豊かになる。そういう学校や教師からのプレッシャーこそが向精神薬の大量処方を生んでいる。」

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日本の現状は?

先の「三重県立こころの医療センター」を例にとれば、院長自らが中学校に出かけ、「心の授業」を行っている。

薬剤師やPSWは企業で「メンタルヘルスの出前講演」。
 近隣開業医にメンタルヘルスチェックシートを配って回った精神保健福祉士。
中学校に常駐したスクール・ソーシャルワーカーも「教師には精神疾患に対する理解が足りない。啓蒙が必要である。」という意識である。

日本精神神経学会が「精神科専門医の教育・研修を行う英国唯一の専門家団体」とするこの「英国王立精神科医学会の会長」によれば、こうした行為こそが子供や若者に向精神薬をばらまくことになるのではないか。

先ごろ開かれた「第110回 日本精神神経学会」でも、西田淳志氏や、岡崎祐士氏らによるシンポジウムの演題は「精神保健・医療に関する若者のリテラシー」である。
しかし彼らが腐心するのは、決して心に問題を抱える若者などではない

「具体的成果が報告できないと、審査会でかなりつっこまれる」
「予算獲得のために、競争相手や官僚をいかに説得するか」
「成果が出ない時は商売敵から激しくたたかれる」・・・・

アンチスティグマなどと善意に身を隠してはいるが、若者に精神疾患の意識を植え付け、いかに研究費を獲得するかの目的が透けて見える。 


愛媛の笠医師のホームページには、このようにある。

「さて、この親切そうな出前授業だが、目的が何かお分かりだろうか?
研究予算の獲得には、文字通り「研究」が必要である。
そうでなくても、製薬会社からの献金(研究費)をせしめるには、薬のヨイショをせねばならない。

 欲しいのは、新鮮な献体である。
分かりやすく言えば、発病して間もない、「精神病」患者・・つまり子どもが欲しい。

 いきなり、東大病院を受診する人は少なく、それでは「研究」にならない。
だから、マスコミ、ホームページなどを通して、カモを漁るのだが、
もっと手っ取り早いのは、学校と直接繋がることである。」



精神医学の「カモ」は、言い訳に使われる学校教師や家族会でもある。



― 7月4日 記念日に添えて



参考ソース

原文

(1)
Longitudinal trends in the dispensing of psychotropic medications in Australia from 2009-2012: Focus on children, adolescents and prescriber specialty.

Abstract
OBJECTIVE: Longitudinal trends in the dispensing of antidepressant, antipsychotic and ADHD medications from 2009-2012 were examined according to age and gender of patient and prescriber speciality. Of particular interest were changing trends in the prescription of psychotropic medications to children, adolescents and young adults.

METHOD: Dispensing data for government-subsidised antidepressant, antipsychotic and ADHD medications were obtained from the database maintained by the Department of Human Services. Results were expressed in terms of number of prescriptions dispensed.

RESULTS: Over the four- year study period, the dispensing of antidepressants, antipsychotics and ADHD medications showed overall increases of 16.1%, 22.7% and 26.1% respectively. The most rapid percentage increases in antidepressant and antipsychotic dispensing occurred in children aged 10-14 (35.5% and 49.1% respectively), while ADHD medication dispensing rose most rapidly in those aged 20-24 (70.9%). Dispensing to males was more common during childhood for all investigated classes while two-thirds of adult antidepressant prescribing was to female patients. The most commonly prescribed antidepressants varied by age and were as follows: fluoxetine (3-19 year olds), desvenlafaxine (20-24 years) and venlafaxine (>25 years). Risperidone was the most common antipsychotic dispensed to children under 15, quetiapine to adolescents and young adults (15-24 years), and olanzapine to adults. Methylphenidate was the most common ADHD medication in those aged under 25, and dexamphetamine the most common in adults. Most antidepressants and antipsychotics were prescribed by GPs (89.9% and 70.6% respectively), while the majority of ADHD medications were prescribed by paediatricians (59.1%).

CONCLUSIONS: Dispensing of psychotropic medications increased markedly from 2009 to 2012, with notable age-specific trends. General adherence to treatment guidelines is apparent, yet concerns exist regarding rapid increases in serotonin noradrenaline reuptake inhibitor (SNRI) antidepressant prescribing, the likely overmedication of persons with mild psychological distress, and the increasing use of powerful psychotropic medications in younger populations despite uncertain risk-benefit profiles.

© The Royal Australian and New Zealand College of Psychiatrists 2014.


(2)THE TIMES
Doctors under pressure to label bookish children as mentally ill

Drugs such as Ritalin and Prozac have been massively abused because of the desire to label problems as medical disorders, said Professor Sir Simon Wessely, who takes over as president of the Royal College of Psychiatrists next week.

Huge rises in the use of antidepressants and drugs to treat attention deficit hyperactivity disorder (ADHD) show that they are being given too freely in response to social pressure and not to those who could really benefit, he said.

Professor Wessely also criticised the prejudice against mental health among other doctors, adding: “You could not have designed a health service less able to join up mind and body, physical and mental, than the health service that we’ve had in the past 20 or 30 years.”

The use of ADHD drugs has tripled in a decade and the use of antidepressants has doubled. Professor Wessely said that this was unlikely to be explained purely by more disease or better detection…

“Certain behaviours carry stigma and there’s less stigma if it’s associated with a disorder. Often it’s about the avoidance of guilt. You get obvious pressure from parents: we’ve all been to middle-class dinner parties where so many parents seem to say their kids are mildly autistic and yet they’ve just got into Oxford. And you think, ‘I don’t really buy that one’ . . . It’s interesting that many of these disorders are more common in the private sector of education.”

He added: “When did you last hear a kid called bookish or shy? At what point do those normal traits become social phobia or Asperger’s, or when does a naughty kid become ADHD? Now those are socially defined, and where psychiatry sits on those is often not where the public think.

“We are the most conservative in those areas because we know how awful autism is, we’re the ones who don’t want to extend the boundaries to include every shy, bookish, odd child. It’s psychiatry which is against the medicalisation of normality.”

Arguing that there are “perverse incentives” in the system, he said: “The more children that are labelled ‘special needs’, the more resources a school gets. If you just have a difficult kid in your classroom, you’ve just got to cope. But if you have a kid with ADHD you might get a classroom assistant. So you get pressure from teachers…”


(3)DAILYMAIL
Doctors say parents and schools are pushing them to label children who are just shy or bookish as mentally ill•Overbearing parents are pushing GPs to dish out drugs for treatment

•Professor Sir Simon Wessely, says there is a growing trend to medicate

•Drugs such as Ritalin and Prozac are now common place

•However, the child may not have a disorder at all, according to an experts

A worrying number of shy and book smart children are being labelled as 'mentally ill' by doctors who  are under pressure from parents to give them a diagnosis according to a top psychiatrist.
Professor Sir Simon Wessely, the new head of the Royal College of Psychiatrists says that there is a growing trend of medicating normal traits in children by the insistence of overbearing parents.
Pushy parents are getting GPs to prescribe drugs such as Ritalin and Prozac to treat serious disorders creating a huge rise in antidepressants and drug use among young children.

Along with mental health diagnosis, one of the most commonly medicated disorders is attention deficit hyperactivity disorder (ADHD).
If a child is seen as being overactive, but does not necessarily have ADHD, he could be prescribed drugs, Professor Wessely said.
He told The Times: 'Certain behaviour carry stigma and there's less stigma if it's associated with a disorder. Often it's about the avoidance of guilt.

'You get obvious pressures from parents: we've all been to middle class dinner parties where so many parents seem to say their kids are mildly autistic and yet they've just got into Oxford. And you think 'I don't really buy that one'...

Around three to seven per cent of children, or 400,000, are believed to have ADHD in the UK, with many being prescribed drugs to try and improve their concentration at school.
According to recent figures, the use of ADHD drugs has tripled over the past decade and antidepressants usage has shot up too.
Professor Wessely said that it is becoming less common for children to be labelled as 'shy' but they are more likely to be branded as having a social phobia or a behavioural problem.

And even schools are benefitting from mislabelling pupils, says Professor Wessely, as the more special needs children in a school, the more funds they'll get.

However, some experts claim that many disorders have no merit at all, and are in fact, made up.

Paediatric neurologist Dr Richard Saul, based in Chicago, believes that ADHD simply ‘doesn’t exist’ and is being used as a mask for less serious problems.

Dr Saul argues that children are being misdiagnosed.

‘ADHD makes a great excuse,’ Dr Saul said in his book, ‘ADHD does not exist: The truth about Attention Deficit and Hyperactivity Disorder.’

‘The diagnosis can be an easy-to-reach-for crutch. Moreover, there’s an attractive element to an ADHD diagnosis, especially in adults - it can be exciting to think of oneself as involved in many things at once, rather than stuck in a boring rut.’
Echoing Dr Saul's views, a group of researchers from Australia and the Netherlands said in November that the diagnosis of ADHD may have become too broad.

A wider classification of symptoms for ADHD in the psychiatric ‘bible’ used by the profession has led to a steep rise in diagnosis and prescriptions for medication, the study warned.
The group of researchers said there was now a risk of over diagnosis which could fuel scepticism about the disorder.
In addition, stretched resources may mean some seriously affected children do not get medical help, or they are undertreated.

精神医療が医療であるために

An Evidence-based Mandate for A New Standard of Care

Harrow + Wunderink + Open Dialogue = An Evidence-based Mandate for A New Standard of Care
ハーロウ + ウンダーリンク + オープン・ダイアログ = EBM(科学的根拠に基づく医療)の求める精神医療の新基準
Robert Whitaker
ロバート・ウィタカー
July 17, 2013

オランダ人研究者、レックス・ウンダーリンクの新しい研究は、正しいことを行い、患者に最善を尽くしたいという思いがあるなら、抗精神病薬使用のプロトコルを変更する必要があることを精神医学が認める時に来ていることを示している。今の基準では、現実的には精神障害と診断されると全員が継続的な抗精神病薬を服用することになるが、これは明らかに長期的な機能回復の機会を減らすものである。

このウンダーリンクの研究は、まさにそれがランダム化デザインされたものであるがゆえ、大きな説得力を持ってマーチン・ハーロウの長期転帰に関する研究を補完するものである。加えて北部フィンランドのオープン・ダイアログを実践する医師らの報告する結果は、もし精神医学が主にハーロウやウンダーリンクの研究結果に基づいて抗精神病薬使用のプロトコルを修正するなら何が可能になるかについて、データに基づいた判断を提供している。

これら3つの研究がしっくり一体となり、処方基準を変更するエビデンスに基づく説得力のあるの根拠がいかに形成されるかを述べてみよう。

イリノイ大学医学部の心理学者であるマーチン・ハーロウは、統合失調症もしくは軽度精神病のいずれかに診断された145人を15年間フォローアップしたプロスペクティブな自然的研究。患者全員が最初に抗精神病薬による治療を受ており、その後一定の間隔で患者の具合を評価、抗精神病薬の使用を追跡調査した。ハーロウの数多い発見の中に、統合失調症患者に関して以下の3つの重要な結果がある。

•15年の終わりに、抗精神病薬の服用を止めた統合失調症患者の回復率が40%であったのに対し、抗精神病薬を服用していた患者では5%であった。ハーロウの回復の定義には、機能的要素 (就労しているか、まともな社会生活が営まれているかなど) が含まれ、この機能的要素が、服用を中止した群のほうで回復率が高かった主な理由であった。抗精神病薬を服用していた患者が臨床的には症状の寛解を経験していた可能性はあるものの、社会の中ではうまく機能できていなかった。
•2群 (抗精神病薬を服用していた統合失調症患者と、していなかった統合失調症患者) の転帰の相違は、2年と5年の追跡アセスメントの間に生じていた。2年のアセスメントでは、転帰にさほど目立った違いは認められなかった。
•服薬を中断した患者がいったん安定すると、その後の再発率は非常に低かった。10年、15年の両追跡では、抗精神病薬の服用を中止した患者のほうが、服薬している患者よりも精神病症状を経験することがはるかに少なかった。
20年の結果を発表したのち、ハーロウは明白な問題を提起した。抗精神病薬は長期転帰を悪化させるのか? ハーロウの結論は、少なくとも統合失調症患者の中には抗精神病薬の服用なく長期にわたって良好な状態を保つことのできる患者がおり、薬剤使用のプロトコルはその可能性を認める必要があることは明らかであるであった。

ハーロウの研究は、統合失調症患者に対する現在の医療基準に明らかな異議を唱えた。しかし、一般的な常識や処方基準の擁護に熱心な側は、彼のこうした発見をはねつけた。「彼の研究は自然的研究であり、無作為研究ではない。故に、より良好な転帰をもたらしたとされる自発的に服薬を中止した患者には、もともとそういう特質があった可能性がある。結果の相違は抗精神病薬がもたらした何らの「害」によるものではない。」

さて、私の個人的な考えでは、ハーロウの発見はこのように片づけられることはできない。なぜならば、彼の研究の患者サブセットすべてにおいて、抗精神病薬を中止した患者の転帰が (全般的に) 著しく優れていたからである。もし仮に薬が本当に有益なものであったなら、このような転帰になるはずがない。しかしもしも薬が長期にわたる転帰を実際には悪化させていたとすれば、この結果はまさに予想されたものである。それでも現行の処方習慣を擁護する人たちにとっては、この研究が無作為化ではなかったことが知的な逃げ道となった。無作為化は根拠に基づいた医療の黄金律であり、ハーロウの研究結果はこうして片づけられたかもしれない。

そこにウンダーリンクが精神医学にもたらしたのは長期転帰の無作為研究である。精神病の初回発症成人患者を対象にした彼の研究では・・・・(つづく)

テーマ : 統合失調症
ジャンル : 心と身体

コクラン・ライブラリーに見る「精神疾患 早期介入・支援」-その現状と真実

"Early intervention for psychosis"

◎ オランザピンにベネフィットはない
◎ 認知行動療法 (CBT) にベネフィットはない
◎ リスペドリン + CBT + 専門チーム(早期介入多職種連携チーム/アウトリーチ)にベネフィットはない (12ヶ月)

◎ 自殺傾向のための認知行動療法に効果はない
◎ 家族療法 + 専門チームの介入は再発に影響しない
◎ 専門チームの介入は平均入院日数に影響しない  

  Early intervention for psychosis


"Early intervention for psychosis"
(精神疾患の早期介入)

Max Marshall1,*, John Rathbone2Editorial Group: Cochrane Schizophrenia Group
Published Online: 15 JUN 2011
Assessed as up-to-date: 3 JUN 2009
DOI: 10.1002/14651858.CD004718.pub3

Abstract

背景
早期介入の支持者は、統合失調症の初期段階もしくは前駆症状を有する人々に対し、さらに集中的な治療努力を施すことでアウトカムを改善しうるとしてきた。統合失調症の早期介入には、標準的ケアとは明確に異なる二つの要素がある。早期発見とphase-specific treatmentである。(phase-specific treatmentとは、統合失調症の初期段階にある人のために特別に開発・改良された治療法のこと。)

早期発見とphase-specific treatmentは、共に標準的ケアを補うものとして提示されるか、あるいは早期介入専門チームを通じて提供される。アメリカ、ヨーロッパ、およびオーストラリアにおいては、定着したものである。


目的
次の効果を評価する (a) 早期発見  (b) phase-specific treatments  (c) 前駆症状のある人、あるいは初回エピソード精神病治療における早期介入専門チーム


検索方法
われわれはコクラン統合失調症グループTrials Register (March 2009) を検索し、特定したすべての臨床試験とレビューを精査の上、この分野における専門家にコンタクトを取った。


選択基準
前駆症状を示す人の精神疾患への進行の予防、あるいは初回エピソードがある人のアウトカムの改善を目的にデザインされた無作為化比較臨床試験 (RCTs) をすべて含めた。早期発見、phase-specific treatment、早期介入専門チームによる単独および併用ケアによる介入を適格とした。本調査ではクラスター無作為化試験は容認したが、非無作為化試験は除外した。


データ収集と分析
臨床試験を厳選の上その質を評価し、データ抽出を行った。二分データについては、95%信頼区間 (CI)で相対リスク (RR)を推定した。
可能な場合は、NNT/H (number needed to treat/harm statistic) を算出し、ITT (intention-to-treat) 解析を用いた。


主な結果
研究は様々であるが、そのほとんどは先駆的研究者によって行なわれた小規模なものであり、多くの方法論的制限があった (18 RCTs, total n=1808)。概ねメタ分析は不適当なものであった。前駆症状のある人の精神疾患予防を検証した6つの研究では、オランザピンにはほとんどベネフィットが無いように思われ (n=60, 1 RCT, RR 精神疾患への移行 0.58 CI 0.3 ~ 1.2)、また認知行動療法 (CBT) にも同じくベネフィットは無いように思われた (n=60, 1 RCT, RR 精神疾患への移行 0.50 CI 0.2 ~ 1.7)。リスペドリン+CBT+専門チームは、6ヵ月では専門チーム単独よりもベネフィットをもたらしていたが (n=59, 1 RCT, RR 精神疾患への移行 0.27 CI 0.1 ~ 0.9, NNT 4 CI 2 ~ 20)、12ヵ月の時点ではそれは見られなかった。オメガ3脂肪酸 (EPA) はプラセボよりも利点を得られた (n=76, 1 RCT, RR 精神疾患への移行 0.13 CI 0.02 ~ 1.0, NNT 6 CI 5 ~ 96)。しかしこの知見を再現するものについて、われわれは全く知らない。

その他の臨床試験は、初回エピソード精神疾患における転帰の改善を目的としたものであった。自殺傾向のためのphase-specificなCBTにはほとんど効果が無いように思えたが、その単回調査は小規模なものであった (n=56, 1 RCT, RR 自殺 0.81 CI 0.05 ~ 12.26) 。オランダで行われた家族療法+専門チームでは明らかな再発への影響はなかったが (n=76, RR 1.05 CI 0.4 ~ 3.0) 、中国で行われた専門チームのない家族療法のみで影響のあった可能性がある (n=83, 1 RCT, RR 入院 0.28 CI 0.1 to 0.6, NNT 3 CI 2 to 6) 。最も大規模で質の高い研究は、専門チームと標準治療の比較であった。研究からの早期離脱の低下 (n=547, 1 RCT, RR 0.59 CI 0.4 ~ 0.8, NNT 9 CI 6 ~ 18)、および治療コンプライアンスの改善が認められた (n=507, RR 治療中止 0.20 CI 0.1 ~ 0.4, NNT 9 CI 8 ~12)。1年目での平均入院日数に有意差はなく (n=507, WMD, -1.39 CI -2.8 ~ 0.1) 、5年目までに"入院無し"のデータにも差はなかった (n=547, RR 1.05 CI 0.90 ~ 1.2)。1年での"非自立生活"者の数に有意差はなかった (n=507, RR 0.55 CI 0.3 ~1.2)。5年目では"非自立生活"者が治療参加者のほうでは有意に減少していた (n=547, RR 0.42 CI 0.21 ~ 0.8, NNT 19 CI 14 ~ 62)。phase-specific treatment (CBT) とビフレンディングを比較した場合、1年間入院のなかった参加者の数に有意差は出なかった (n=62, 1 RCT, RR 1.08 CI 0.59 to 1.99)。

phase-specific treatment の 短期介入と同様 (n=106, 1 RCT, RR 入院 0.86 CI 0.4 ~ 1.7)、phase-specific treatment の E-EPA オイルにもベネフィットのないことが示唆された (n=80, 1 RCT, RR 無反応 0.90 CI 0.6 ~ 1.4) 。Phase-specific の ACE にはベネフィットを見なかったが、就労介入を受けた参加者は雇用されやすい傾向にあった。Phase-specific の 大麻や精神療法はベネフィットを示さず (n=47, RR 大麻使用 1.30 CI 0.8 ~ 2.2)、危機アセスメントが入院を減少させることもなかった (n=98, RR 0.85 CI 0.6 ~ 1.3)。早期行動介入が体重に影響することはなかった。


執筆者の結論
精神疾患の前駆状態にある人を何らかの介入によって支援しうることを示唆するエビデンスができつつあるとはいえ、未だ確定的なものではない。専門の早期介入サービスを有効とする主張もあるが、さらなる臨床試験が望まれるものであり、早期介入サービスによって得られるものの継続性には疑問がある。就労や家族療法を中心としたphase-specific な支援を有効とする主張もあるが、やはりこれについてもより大規模で長期試験での再現性が必要である。


平易文による要約

精神疾患の早期介入
統合失調症の多くは若年成人期に発症し、生涯継続する障害につながる可能性がある。精神疾患発病の前に、前駆症状として知られる非精神病性症状の一時期がある。本格的な統合失調症の症状としては、幻覚、妄想、思考の混乱、および感情的引きこもりなどがある。適切な治療を受けることが遅れると回復の機会やその範囲が狭まるとするエビデンスがいくらかは存在する。

大まかに言えば、初期介入には2つの目的がある。一つは前駆症状のある人の統合失調症の発病を予防すること。もう一つは統合失調症の初期段階にある人に疾患の重症化を軽減することを目的とした有効な治療を提供することである。現在、アメリカ、ヨーローッパ、オーストラリアで早期介入は広まっている。

われわれは精神疾患の前駆症状あるいは初期症状のある人に対して早期介入が行われたすべての臨床試験のレビューを試みた。本レビューでは18の研究を特定したが、そのほとんどは非力なもので、今のところは十分なデータがないため何らの確定的結論も導くことはできない。さらなる研究は望まれる。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
言うまでもなく、コクランに言う「望まれるさらに大規模な臨床試験」とは、製薬企業と利益相反のある施設や研究者の行うものではない。
 



テーマ : 統合失調症
ジャンル : 心と身体

ファイザー社、外国政府役人への"潜在的賄賂"を認める

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Pharmalot

Pfizer Confesses About ‘Potential’ Overseas Bribes
By Ed Silverman // August 12th, 2011 // 7:36 am

『ファイザー社、外国政府役人への"潜在的賄賂"を認める』

製薬企業が外国政府役人に賄賂を贈っていた問題で、ファイザー社とワイス社社員による海外での特定されていないある販売活動に関連し、"潜在的に不適切な支払い"にまつわる情報をファイザー社が米司法省ならびに米証券取引委員会に"自発的"に提供した。

製薬企業、および製薬企業と海外医療制度との相互関係に対する連邦捜査局の監視が強化される中での"自白"。2009年後半、司法省犯罪捜査部は海外汚職行為防止法に基づき、外国役人との交わりにおいてはさらに厳重に違反行為を追求すると製薬企業に警告していた。

4月にはジョンソン・アンド・ジョンソン社がヨーロッパの数か国において違法にビジネスを成立させるために医師に対して賄賂を贈った (イラクにはキックバック) ことに対し、7000万ドルの罰金が命じられている (こちらを参照) 。また昨年はメルク社、イーライリリー社など、その他少なくとも製薬企業5社が連邦捜査局による捜査で何らかの海外汚職行為防止法違反があるとして通知を受け取っている。また製薬会社と臨床試験受託会社が第三者の治験にあたった医師を買収してデータを改ざんさせていなかったかなども徹底的に調査されている (こちらを参照)。

今回ファイザー社が提供した情報は証券取引委員会への文書で明らかにされたもので、判断については司法省および証券取引委員会と「話し合い中」であるとされている。文書にはさらに、ファイザー社の子会社が絡む税金問題に関する民事、刑事事件でのドイツにおける捜査を含め、いくつもの国で不適切な支払いや "その他の問題"が捜査中であるとされている。

☆☆☆☆☆☆☆
日本のメディアはいつまでこういうことを放置するのだろうか・・・。

MSD,日本の医師へ不適切な金銭供与2億円余

日本でもガーダシル導入へ、厚労省当該部会の議論の怪 1

日本でもガーダシル導入へ、厚労省当該部会の議論の怪 2

8月13日とアフリカ・ケニア・マサイ族

The Scandalous Off Label Use Of Antipsychotics In Anxiety Disorders
Yet Another Warning For DSM 5

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Published on August 8, 2011 by Allen J. Frances, M.D. in DSM5 in Distress


『不安障害におけるスキャンダラスな抗精神病薬の適応外処方』 
 - DSM 5 へのさらなる警鐘 -


DSM-Ⅳ タスクフォース議長 アレン・フランセス医学博士


DSM 5にこの提案がなければ、私がDSM 5の議論を始めることはなかった2つの提案がある。それは、特に子供や10代の若者にすでに広がってしまった身の毛もよだつ抗精神病薬の乱用を、さらに促すものである。DSM 5 が計画している「精神病リスク症候群(psychosis risk syndrome)」(あるいは attenuated psychotic symptoms と呼ばれる) と、「気分調節不全障害 (temper dysregulation )」(あるいは disruptive mood dysregulation と呼ばれる) という、とんでもない処方にもつながりかねない未検証の新たな診断の導入である。こうしたレッテルを張られた (しかも多くの場合、誤ったレッテルが張られているのだが) 子供たちに抗精神病薬が何らかのベネフィットをもたらすというエビデンスは、どこにも存在しない。だからと言って、抗精神病薬が不必要かつ不用意に使われることはないのかと言えば、決してそうでない。それが大いに懸念されるのである。

ところがこれら2つの提案を支持する連中は、私のこうした懸念には正当な理由がないとか、少なくとも大げさなものと考えている。この新しい診断で抗精神病薬の使用を推奨しているわけでもなければ、そうした使い方はFDAの承認適用外だというのが彼らの主張だ。しかしこの主張には、決定的に重要なポイントが欠けている。それは、いったんDSMの新しいカテゴリ―として公式なものにされてしまえば、あとは診断が独自の道を歩み始めるということである。そこに乱用される可能性がある限り (可能性があるのは明らかである)、それは乱用されるものである。つけ込む隙が少しでもあれば、そこに抗精神病薬の過剰使用が知らぬ間にこっそりと割り込んでくる。それは経験から明らかである。

抗精神病薬の乱用がいつの間にか蔓延していることを示す身も凍るような論文も最近発表されている( Comer JS, Mojtabai R, & Olfson M (2011) . National Trends in the Antipsychotic Treatment of Psychiatric Outpatients With Anxiety Disorders. The American journal of psychiatry PMID: 21799067)。不安障害のある外来患者に抗精神病薬が処方される割合は1996年には10パーセントであったものが、その10年後には倍以上にも増加。抗精神病薬が不安障害に効果があるというエビデンスは存在しないにもかかわらずである。存在するのは、こうした薬が危険な副作用を引き起こすという明らかなエビデンスだけである。不安障害に抗精神病薬を使用することをFDAも承認しておらず、従ってこの大量の過剰処方は、すべて承認適応外処方である。

これは実に憂慮すべき問題ではあるが、残念ながら実際には驚くほどの問題ではない。抗精神病薬はすでに首位の座を獲得しており、その処方の多くは科学的根拠がなく、肥満やそれにまつわる様々なリスクを伴う恐ろしい副作用を引き起こしかねない厄介な問題があるにもかかわらず、年間150億ドルもの最高収益を生み出している。これは、日常の医療業務における注意力の欠如を反映した驚くべき結果でもある。適切に使えば、抗精神病薬は非常に価値があり、また必要なツールである。しかしこれほど抗精神病薬がデタラメなベストセラー薬になっていることを正当化するものは何もない。

有害な予期せぬ結果を引き起こすことに対して、DSM 5 はその責任を逃れることはできない。すでに顔面を張られるほどその結果が明らかになっている場合はなおさらだろう。抗精神病薬がこれほどまでに氾濫する中、今以上の波を引き起こす危険を冒すのは無謀である。頭も良く善意に満ちた人間が、実に恐ろしいこのような決定を下すことになるプロセスに、私の失望は尽きないのだ。

☆☆☆☆☆☆☆☆


 「アフリカ(ケニア)における「伝統的精神医療」報告――近代精神医療に対する「オルターナティヴ療法」の可能性を探る」安原 荘一 に、代替療法として「ムスリム伝統的治療」や「マサイ族の伝統的治療」というのが出てくる。

 多分にスピリチャルなもののように思うが、具体的にどういうものかまでは語られていないのでわからない。

 ただ、抗うつ薬にしたところでプラセボを上回る効果があるわけでもなく、逆に言えばプラセボでも"効く"のが「心の病」なのだろう。

してみると、危険な副作用がある薬物療法よりは、はるかに理にかなった療法なのかもしれない。



ケニアのマサイ族の村を訪れた時、子供たちが通う学校ができたために、もともとは遊牧民であったマサイ族にも定住が広がっていると聞かされた。
 
P4060062.jpg


いずれはマサイの村にもテレビやゲーム、パソコンが普及し、学校にはスクールカウンセラーが配置され、メンタルヘルスのスクリーニングが行われる。教師や親たちも精神疾患を学ばされ、怪しい子供が炙り出される。待ち受けるのは「子供や若者のこころを支援する」らしき、エビデンスのない抗精神病薬てんこ盛り薬物治療・・・そんな時代が来るのかもしれない。

そうなる前に、ぜひもう一度マサイマラまで足を運び、なにがあってもそんな社会にしてはいけないと、ピョンピョン飛び跳ねながら村々を巡りたい。

そしてそれは必ず8月13日でなければならないと思っている。(スピリチャルなマサイのお告げ - 統失による幻聴かも?)

テーマ : スピリチュアル
ジャンル : 心と身体

若者を対象とした早期介入 (支援) にまつわるエビデンスは誇張 - メルボルン聖ビンセント病院精神科部長

McGorry accused of conflict of interest

The Sydney Morning Herald

"McGorry accused of conflict of interest"
Jill Stark
August 7, 2011.
http://www.smh.com.au/national/mcgorry-accused-of-conflict-of-interest-20110806-1igxd.html#ixzz1UGsdyj2v

『マクゴーリに利益相反の非難』
ザ・シドニー・モーニング・ヘラルド紙

連邦政府のメンタルヘルス改革に対して精神科医、心理学者、患者グループらのあいだに反感が強まり、元 "オーストラリア・オブ・ザ・イヤー"にも選ばれた政府の医療技術顧問、パトリック・マクゴーリ (Patrick McGorry) の利益相反問題に非難の声が上がっている。

複数のメンタルヘルスの専門家がサンデー・エイジ紙 (The Sunday Age) に語ったところによれば、青少年や若年層成人に特化した早期介入は、『マクゴーリーのロビー活動マシーン』によって甚だしく過大に評価されており、精神衛生に関する政府の専門家作業部会における地位を利用して、自らが設立したプログラムへの資金拠出を進言したとしている。

メルボルン聖ビンセント病院のディビッド・キャッスル精神科部長は、"headspace" (オーストラリア若者心の健康財団) や "early psychosis prevention and intervention centres" (早期精神病予防介入センター) を立ち上げたマクゴーリ教授と、 "headspace" の役員であるイアン・ヒッキー教授 (Ian Hickie) らが言う精神病のリスクがある若者を対象とした早期介入 (支援) にまつわるエビデンスは、誇張されたものであると主張。

"Headspace" は、いじめやストレス、また人との関係に困難があるなど、軽度から中度の問題を抱えた12歳~25歳の若者を対象とするサービスであり、GPによる紹介が親に求められることはない。また"early psychosis prevention and intervention centres"は、15歳から24歳までを対象に、精神医学的、心理学的、および社会的支援が総合的に提供されている。

5月の連邦予算では、精神衛生に割り当てられ22億ドルのうち、その四分の一がこの2つの制度で占められたが、マクゴーリ教授とヒッキー教授は、ともに首相に提言を行う政府のメンタルヘルス専門家作業部会のメンバーである。

「きわめて憂慮すべきは、彼ら専門家であるロビイストたちの言うことに政府が耳を傾けていることである。 彼らが推奨しているプログラムは、自分たちが個人的にも大規模な投資をしているプログラムであり、またそこに示されているエビデンスには明らかな誇張がある。これは甚大な利益相反である」と、キャッスル教授。

この騒ぎの原因となったのは、精神科診断の主要なソースとされる「精神疾患の分類と診断の手引 第四版 (DSM Ⅳ)」作成の委員会議長を務めたアメリカの精神科医、アレン・フランセス氏が、この早期介入に対するこのオーストラリアの取り組みを「検証なき大規模公衆衛生実験である」として、長期のベネフィットに関するエビデンスもほとんど存在しないと批判したことである。

そこには限られた予算配分をめぐっての陣取り合戦という側面もある。また従来のGP (一般開業医) や精神科医によるケアでは、小児と成人の狭間にいる子供や若者の治療が遅れるという指摘もある。

4歳から17歳の子供のおよそ14パーセントがメンタルヘルスの問題を抱えているとされ、その多くはうつ病や不安障害で、精神疾患も2パーセント。

メルボルン国立小児病院 (Melbourne's Royal Children's Hospital) 青少年健康調査科のジョージ・パットン (George Patton) 教授は、マクゴーリ教授のこうした取り組みを賞賛する一方で、早期介入に対するマクゴーリ教授の信念は全員に共有されるものではないと言う。「精神医学界の上位コミュニティーの間では、精神医学がエビデンスを置き去りにして突っ走っていることへの懸念が、まさにうねりのように高まっている」と彼は言う。

しかしマクゴーリ教授は、こうした批判を少数派であるとはねつけ、「不満を抱く者の破壊的かつ無責任な主張」であり、「自分たちの縄張りと弱体化する既存のメンタルヘルス・モデルを守るために、科学的エビデンスを悪用している」と批判。

「初期精神病や "headspace" にまつわる改革は、患者やその家族に利益をもたらすものであり、過去20年の確かなエビデンスと、世界中の何百ものコミュニティーで成果を上げている」と、マクゴーリ教授は言う。

また、ヒッキー教授らとともに代表を務めている組織は非営利団体なのであって利益相反はないとし、あらゆるサービスの資金増額が理想であるが、特に若者に対する支援は急を要すると言う。

しかし、メルボルン国立小児病院精神衛生部、ピーター・バールソン (Peter Birleson) 元部長は、このマクゴーリの意見に反対する。「マクゴーリの仕掛けた客寄せマシーンは、オーストラリアの状況を歪めたものにしている。イギリスには、こうした子供や若者に対するオーストラリアの精神医療の在り方を、まったくの狂気の沙汰であると見る人もいる。マクゴーリは若者や若年層成人のためにという大義名分を掲げてはいるが、実際には精神疾患の50パーセントは14歳以前に発現するものであり、従って児童に対するサービスの強化にこそ大きく舵を切るべきである」とバールソン医師。

ヒッキ―教授は、若者以外の分野で自分もマクゴーリ教授もこれから支援を続けており、政府の作業部会における影響力も他の委員らと同程度であると言う。

「卑劣な攻撃をする人がいるのは嘆かわしいことだが、これは精神医療分野の特徴でもある。これまでほとんど投資をしてこなかったために、結局はパンくずを奪い合うことになっている」と、ヒッキ―教授。

ロイヤル・オーストラリアン・アンド・ニュージーランド・カレッジ・オブ・サイカイアトリスト (Royal Australian and New Zealand College of Psychiatrists) の前学長であるルイス・ニューマン氏は、早期介入に小さく焦点を当てすぎているがために、若者が過剰に薬物治療を受け、早まった診断やレッテルを張られることにつながりかねないと言う。

しかし、オーストラリア地域評議会 (Community Council for Australia) の最高責任者で、オーストラリア精神保健委員会 (Mental Health Council of Australia) の元会長、ディビッド・クロスビー氏は、現行の精神医療を脅かす存在であるがために標的にされているとし、「パトリックやイアンに対し、私には尊敬の念しかない。彼らは自分たちの役割だけにとどまらず、なんとか変化を起こそうと頑張っている。この分野の他の人たちがメンタルヘルスをより良い方向に導くための改善を支持しないのは残念なことだ」と彼は言う。

また、もう一人のマクゴーリ支持者であるSANE オーストラリア (SANE Australia) のバーバラ・ホッキング事務局長は、自分に関わりのないサービスも含め、彼はこの分野全体の資金獲得に尽力したと言う。

早期介入プログラムのための資金は、予算をオーバーしていたベター・アクセス・スキームへの配分を削減することから捻出されており、従来はGPや精神分析医、ソーシャルワーカーなどを通して提供されていたものである。

この削減には、オーストラリア医師会、オーストラリアGP学会ならびにオーストラリア心理学会が反対し、不安症やうつ病の人にとって治療費が高額になり過ぎると主張している。

ヒッキ―教授や、同じく政府の作業部会に属するディビッド・カッポ司祭 (Monsignor David Cappo) は、ベター・アクセス・スキームに反対だ。予算配分に先立ち、マクゴーリ教授とともに彼らはメンタルヘルス改革の青写真を公開したが、そこに並べられていた30項目の「お買い得品」の中に、ベター・アクセスは含まれていなかったのだ。

一方、カウンセリング心理学協会 (Association of Counselling Psychology) のベン・マリングス (Ben Mullings) 会長は、政府作業部会のパネリストが直接の資金受益者である場合、それは独立した存在とは言い難いとする。

またビクトリア・メンタルイルネス・アウェアネス評議会 (Victorian Mental Illness Awareness Council) のイザベル・コリンズ会長は、マクゴーリ教授の若者への献身ぶりには敬意を表するとしながらも、その他の年齢層が軽視されているように思うとした。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆


◎ "headspace" や "early psychosis prevention and intervention centres" を立ち上げたマクゴーリ教授らが言う精神病のリスクがある若者を対象とした早期介入 (支援) にまつわるエビデンスは、誇張されたものである
きわめて憂慮すべきは、彼ら専門家であるロビイストたちの言うことに政府が耳を傾け・・・・彼らが推奨しているプログラムは、自分たちが個人的にも大規模な投資をしているプログラムであり、またそこに示されているエビデンスには明らかな誇張があり・・・・甚大な利益相反である
- メルボルン聖ビンセント病院精神科部長

◎ オーストラリアの取り組みは「検証なき大規模公衆衛生実験である・・・長期のベネフィットに関するエビデンスもほとんど存在しない
- DSM Ⅳ作成委員会議長

◎ マクゴーリの仕掛けた客寄せマシーンは、オーストラリアの状況を歪めた・・・・イギリスには、こうした子供や若者に対するオーストラリアの精神医療の在り方を、まったくの狂気の沙汰であると見る人たちもいる
- メルボルン国立小児病院精神衛生部元部長

◎ 早期介入に小さく焦点を当てすぎているがために、若者が過剰に薬物治療を受け、早まった診断やレッテルを張られることにつながりかねない
- ロイヤル・オーストラリアン・アンド・ニュージーランド・カレッジ・オブ・サイカイアトリスト前学長

◎ 政府作業部会のパネリストが直接の資金受益者である場合、それは独立した存在とは言い難い
- カウンセリング心理学協会会長


高まる早期介入批判のうねり
少なくともメジャーメディアがしっかりと精神医療の「早期介入」問題を取り上げ、議論の余地を国民に与える早期介入の本拠地オーストラリア。

一方、早期介入「支援」が若者や子供を救うかのような信仰(カルト)に洗脳され、権威に騙され続ける医療従事者を含めた日本人。


あ~ぁ、こうした記事を日本のマスコミが取り上げるだけの健全さがあれば、精神衛生上も多少は良ろしかったかと。

テーマ : 統合失調症
ジャンル : 心と身体

司法長官、リスパダールの違法マーケティングでヤンセンファーマ社を告訴 - 認知症患者の死亡リスクの増加も隠ぺい

Coakley alleges Janssen
LegalNewsLine

Coakley alleges Janssen illegally marketed drug
BY JESSICA M. KARMASEK

『コークリー司法長官、リスパダールの違法マーケティングでヤンセンファーマ社を告訴』

ボストン (リーガル ニュースライン) -- 非定型抗精神病薬、リスパダールを違法にマーケティングしたとして、マーサ・コークリー司法長官は、オーソ・マクニール・ヤンセンファーマスーティカルズ(Ortho-McNeil-Janssen Pharmaceuticals, Inc.)を告訴した。

コークリー司法長官によると、ヤンセン社は高齢者の認知症や児童の多くの症例にこうした用途での薬の安全性や有効性が不明のまま、FDA (米食品医薬品局) の承認を得ずに治療薬として使うことを促していたという。

今週、サフォーク上級裁判所に提訴された申し立てによると、ヤンセン社は、過度の体重増加や糖尿病、また高齢の認知症患者には死亡リスクが増加することなど、リスパダールの使用に関連するこうした深刻な副作用の開示も怠っていたとされる。

月曜日、コークリー司法長官は、「薬剤生産者は、安全性や有効性が確立していない段階で自社薬剤の使用をプロモートすべきではない」と述べ、「ヤンセン社は患者の安全よりも利益を優先し、適応承認されていないリスパダールの使用を促進し、深刻な副作用の開示を怠った」とした。

司法長官によるこの訴訟において、ヤンセン社の不正および虚偽行為とされるのは以下のとおり。

* マサチューセッツ州の医療従事者および消費者対するリスパダールの有効性および安全性に関する重要な事実の伝達漏れ、および/または隠ぺい。

* リスパダールの使用に関連する副作用及びリスクの隠ぺい、伝達の怠慢、あるいは矮小化。

* 認知症患者へのリスパダールの使用には死亡リスクの増加を含む深刻な副作用があるにもかかわらず、処方者にそのことを開示せず、高齢者の認知症治療薬としてリスパダールの使用を促した。

* リスパダールを高齢者の認知症治療薬としての販売承認を同社がFDAに求めた際、その安全性に対する懸念を理由に拒否されたことを処方者に開示することなく認知症治療薬としてリスパダールの使用を促した。

* 児童の行為障害およびその他疾患の治療薬としてFDAがリスパダールを承認する以前から、10年以上にもわたって安全かつ有効なそうした用途の治療薬としてリスパダールを市場でプロモートした。

* リスパダールの安全性、特に体重増加と糖尿病発現のリスクに関し、処方者に対して誤解を与える不正な発言を行った。

* 医師に金銭を支払い、実際には未承認の使い方を売り込むための見え透いたマーケティング・プログラムに過ぎないものをコンサルティング・プログラムと称して参加させた。


FDAが承認した用途、つまり主として統合失調症や双極性気分障害の治療に普段はほとんどリスパダールを処方しない処方者を対象に、積極的なマーケッティングを仕掛けたとした。

司法長官の訴えによれば、ヤンセン社の違法マーケティングと販売戦略は、マサチューセッツ州において何億ドルもの売り上げを同社にもたらしたとされている。

コークリー司法長官の告訴状には、こうした違法な戦略が、児童や若者、そして高齢者層におけるリスパダールの地位をマーケットリーダーに押し上げたと、ヤンセン社の社内文書を引用して述べられている。

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日常茶飯事となったこうした製薬企業のデタラメな抗精神病薬のマーケティングはさておき、すでにこのような抗精神病薬による精神疾患の薬物療法が行われて50年以上が経過する。
こうした薬剤を長期に使用した場合にも本当に患者に害よりもベネフィットをもたらす効果があるのであれば、半世紀以上というのは、薬物療法の効果を示す明らかなエビデンスが数多く揃い、精神疾患に苦しむ人の数も激減していてしかるべき時間であるように思われる。

しかし、一体どこにそのようなエビデンスが存在すると言うのだろうか・・・。

テーマ : 統合失調症
ジャンル : 心と身体

英国心理学会 (The British Psychological Society) -早期介入診断の目玉“attenuated psychosis syndrome (微弱精神病症候群) ”に重大懸念を表明

The British Psychological Society Condemns DSM 5
But goes too far in trashing all of psychiatric diagnosis
Published on July 27, 2011 by Allen J. Frances, M.D. in DSM5 in Distress

『英国心理学会、DSM 5 を非難』
精神科診断を全部ゴミにするのはやり過ぎだが

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DSM-Ⅳ タスクフォース議長 アラン・フランセス医学博士 (Allen J. Frances, M.D.)

5万人の会員を持ち、非常に高い評価を得る組織の英国心理学会 (The British Psychological Society = BPS)。その BPS が最近、米国精神医学会宛てた公開状でDSM 5を厳しく批判。批判内容の大部分は正鵠を射たもので、DSM 5 の危険な行き過ぎを正確に指摘したものである。しかしあまりに広義でポイントがぼやけ、説得力に欠くところも一部にあり、DSM 5 の行方を握る側にまともに取り合わない隙を与えてしまっている。DSM 5 の最終決定がいよいよ大詰めを迎える中、BRSの警鐘は真剣に考慮すべき内容のものであることから、これは残念なことである。

BPS の最も優れた点は、正常な多様性までをも医療に取り込もうとする DSM 5の提案を告発していることである。人生で遭遇する困難 (例えば人の死などによる「深い悲しみ」など) に対する当然の反応を精神病に変えてしまう傾向にあるDSM 5 に、BPS は説得力をもって猛反対しているのだ。公開状では、(例えば精神病の) リスク症候群、つまり、(mixed anxiety depression = 混合性不安抑うつ障害、mild neurocognitive = 軽度神経認知障害、binge eating=過食症 などの) 既存の精神障害に、弱く軽度のものまで DSM 5 に加えようという提案について特別の懸念を表明しているが、これは正しいことである。

BPS のこの部分の批判は歯切れよく、すべて事実であり、DSM 5 が持つ最悪かつ最も危険な問題の核心を突いている。正常な経験までも精神医療の対象にしてしまうことは、人の普通のありようにスティグマを付して安っぽいものにし、不必要で害となりうる薬剤による過剰治療を促すものである。しかし、精神科診断の全てを否定する BPS の批判は、あまりに行き過ぎたもので、それがゆえに茫漠としてしまっている。

その最たる例が、統合失調症と「精神病リスク症候群 (psychotic risk syndrome) 」(コロコロ名前を変えるのが好きなようで、最近では別名 "attenuated psychotic symptoms"(微弱精神病症状) と呼ばれる) を、全く無差別に拒否しているように思える点である。公開状では、これらが大なり小なり同じように不完全で価値のない概念であるかのように語られている。しかしこの2つは全くの別物である。「精神病リスク ('psychosis risk)」という問題の多い産湯を捨てるために、中にいる統合失調症という大切な赤ん坊まで捨てるようなもので、それがこの危険な産湯に対する議論 の説得力を弱める結果をもたらしている。

確かに統合失調症は、記述力、説明能力に限界のある不完全な概念である。多数の異なった症状があり、おそらくは何百もの異なった原因 (わかっている原因は一つもない) で起こるきわめて不均一なものである。このさまざまな統合失調症の発病、経過、重症度、そして治療に対する反応もまた、さまざまなのである。診断に利用できる生物学的テストもなく、近い将来に登場する見通しすら何一つない。それでも、やはり統合失調症は多くの情報を経済的に得るための価値ある診断であり、臨床ケアや臨床研究の (不完全でも) 有効な指針である。過去100年に蓄積された統合失調症に関する豊富な文献があり、少なくとも私たちがまだ知らない大まかな姿をそれらは示唆している。BPS は統合失調症を一つの概念として批判してはいるが、実行可能な代案を出していない。

一方、「精神病リスク」は比較的新しく登場したもので、その特性も全くわかっていない。どのように定義するのが一番良いかもわからず、それを正確に診断することもできず、治療法もわからず、治療したとしてもその永続的価値がわからず、仮に公式のものとして認められるようなことになれば、その結果としてどれほどの予期せぬ害がもたらされるかもわかっていないのだ。

なによりも特筆すべきことは、この研究にキャリアをささげ推進してきた学者の間にまで、精神病リスク症候群をDSM 5 に含めることに反対する意見が広がりを見せていることである。その転機となったのは、これまで精神病リスクをDSM 5 に含めることを支持し、強力に推し進めてきた著名な二人 (パトリック・マクゴーリ (Patrick McGorry) とアリソン・ヤン (Alison Yung)) が、その支持を撤回し、統合失調症の初期症状を治療することを目的とするオーストラリアの野心的な新しいメンタルヘルス・プログラムには組み入れないと公に断言したことである。

従って、今なお「精神病リスク」という鳴り物入りの新奇なものにしがみついているのはダイハードな連中だけなのであるが、不運にも最後のキャスティング・ボートを握っているのはそのテコでも動かない連中なのである。BPS がこの論争に加わり、この茶番を止めさせようと様々な立場から上がる声のコーラスに、力強い声が加わったのは素晴らしいことである。しかし、BPS は統合失調症という確立した概念までも同時にこき下ろそうとすることで、その価値あるメッセージを希釈してしまっている。

精神科の診断は確かに不完全ではあるが、同時にまた不可欠なものである。批判することは極めて容易であるが、現状ではそれに代わるものもない。外部から上がる非難の声も、反精神医学を唱える単なる攻撃に過ぎないものと片付けられてしまえば、それはDSM 5に携わる側に安心を与えてしまう (そしてこの"attenuated psychotic symptoms"という最悪の思い付きを擁護してしまう) ことになる。DSM 5 には検証と持続的な外部の批判は絶対に必要なものであり、またそれに値するものであるが、そのためには精神科診断の全てをターゲットにするのではなく、数多く存在する目に余るような欠陥を特定して批判のターゲットにするほうが、極めて有効だろう。

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● 英国心理学会の公開状にある“attenuated psychosis syndrome (微弱精神病症候群) ”について書かれた部分 (抜粋訳) 

Attenuated Psychosis Syndrome 

Response to the American Psychiatric Association:
DSM-5 Development

As stated in our general comments, we are concerned that clients and the general public are negatively affected by the continued and continuous medicalisation of their natural and normal responses to their experiences;responses which undoubtedly have distressing consequences which demand helping responses, but which do not reflect illnesses so much as normal individual variation.
概評に述べたように、経験に対する自然かつ正常な反応、つまり、援助反応を要求する明らかに苦悩に満ちた結果となる反応ではあるが、病気というよりはむしろ正常な個人の多様性の反映としての反応が、絶え間なく継続して医療の対象とされることにより、クライエントや一般国民が悪影響を受けていることを懸念する。

We believe that classifying these problems as ‘illnesses’ misses the relational context of problems and the undeniable social causation of many such problems.
こうした問題を「病気」と分類することは、問題の相関的背景や、そうした多くの問題の否定できない社会的因果関係を見逃すことになることを我々は確信する。

We have significant concerns over the inclusion of “attenuated psychosis syndrome”.
The concept of “attenuated psychosis system” appears very worrying;it looks like an opportunity to stigmatize eccentric people, and to lower the threshold for achieving a diagnosis of psychosis (and hence increasing the number the people receiving antipsychotic medication and a range of other social ills).
我々は“attenuated psychosis syndrome (微弱精神病症候群) ”を(DSMに)含めることを大いに懸念する。
“attenuated psychosis syndrome”という概念はきわめて憂慮すべきものであるように思える。風変わりな人間にスティグマを付し、精神病の診断基準に達するように閾値を下げる (それによって抗精神病薬を投与される人の数を増やし、その他さまざまな社会悪を増やす) 一つの機会となるように思われる。


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● アラン・フランセス氏が、「マクゴーリはオーストラリアの野心的な新しいメンタルヘルス・プログラムに“attenuated psychosis syndrome ”は組み入れないと公に断言した」と伝えるのは、おそらくTHE AUSTRALIAN 紙 の以下の記事 (一部抜粋訳)。

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Professor McGorry dismissed Professor Frances's attack as a "beat-up", and said no one received anti-psychotic drugs at his centres unless they had had a psychotic episode.
マクゴーリ教授はフランセス教授からの非難を「大げさな記事」として退け、精神病エピソード(症状の発現)がない限り、自身のセンターでは誰一人として抗精神病薬を投与されるものはないとした。

While Professor Frances agreed that Professor McGorry did not recommend anti-psychotic medication as a preventive measure, he feared general practitioners might overuse the drugs if they started using Professor McGorry's diagnostic tool for early psychosis.
マクゴーリ教授が予防手段として抗精神病薬を推奨しているわけではないことは認めながらも、フランセス教授が恐れるのは、一般開業医が早期精神病にマクゴーリ教授の診断ツールを使い始めるようになった場合の抗精神病薬の過剰使用である。

Professor Frances said in his Psychology Today blog that early intervention to prevent psychosis required first that there be an accurate tool to identify who would become psychotic.
ブログ"Psychology Today"でフランセス教授は、精神病予防のための早期介入には、誰が精神疾患を将来発病するかを見極める正確なツールがまず第一に必要であると記し、

"The false positive rate in selecting pre-psychosis is at least 60-70 per cent in the very best hands and may be as high as 90 per cent in general practice . . . these are totally unacceptable odds," he said.
「 "前-精神病 (prepsychosis)"を選択する際の偽陽性率は、たとえ最高の技術を持った専門医が行っても約60~70%であり、普通の医師なら90%にも上る」とする。

Professor McGorry agreed that false positive rates of diagnosing prepsychosis were high, but said the first line of treatment for people who had sub-threshold psychosis was supportive care.
マクゴーリ教授も前-精神病の偽陽性率が高いことには同意する。しかし、閾値下の精神病のある人達に対する第1選択の治療法は支持療法であるとした。

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「これまで精神病リスクをDSM 5 に含めることを支持し、強力に推し進めてきた著名な二人 (パトリック・マクゴーリ (Patrick McGorry) とアリソン・ヤン (Alison Yung)) が、その支持を撤回」し、反対に転じたのは、おそらく単にARMSやUHR、PLEs などに基づく偽陽性率が極めて高い前駆期治療に対する批判の高まりをかわして予算を獲得するためだけでなく、DSM ワーク・グループやその提案を評価する科学審査グループ (Scientific Review Group) への根回しが終わり、DSM 5に“attenuated psychosis syndrome (微弱精神病症候群) ”が加えられることがすでに決定してしまったと考えられる。

DSM-5 に記載さえされれば、二人は大きな任務を果たしたことになる。 あとは「権威」を保てばよい。
それがための「偽陽性率は高いが第1選択の治療法は支持療法」。

「風変わりな人間にスティグマを付し、精神病の診断基準に達するように閾値を下げる (それによって抗精神病薬を投与される人の数を増やし、その他さまざまな社会悪を増やす)」ことができ、「精神病リスク症候群にしがみつくダイハードな連中」が跋扈する日本の精神医療レベルでは、フランセス教授の言う開業医だけでなく、「権威ある有名大病院」においても誤診に次ぐ誤診、誤処方に次ぐ誤処方による薬物の多剤大量-てんこ盛り治療が、今後は子供や若者の間でさらに広がることになる。


テーマ : 統合失調症
ジャンル : 心と身体

抗精神病薬を国中ににばら撒くビッグファーマと、そこに寄生する精神科医一味に歯止めを - アルジャジーラ

 
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Mass psychosis in the US
How Big Pharma got Americans hooked on anti-psychotic drugs
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James Ridgeway Last Modified: 12 Jul 2011
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『国民総精神病化』
アメリカ国民を抗精神病薬漬けにした大手製薬企業の手口


アメリカは精神病者の国になってしまったのか。抗精神病薬の使用量がどれだけ爆発的に増加したかを見れば、誰でもそう考えることだろう。2008年、米国で140億ドルを売り上げた抗精神病薬は、高コレステロールや胃酸の逆流を防ぐ治療薬を凌ぎ、処方薬部門の1位であった。

かつて、抗精神病薬と言えば、主に統合失調症 (精神分裂症) や双極性障害 (躁鬱病) など、重い精神疾患の症状である妄想や幻覚、あるいは思考障害の治療薬として用いられたもの。しかし今や誰もが抗精神病薬を服用しているようだ。親たちは、子どもが手に負えないのは実は双極性障害が原因なのだから抗精神病薬が必要だと言われ、ボケのある老人も、かつては精神分裂症患者にしか使われなかった薬を、それも大量に処方されている。今やアメリカ人は慢性的なうつ症状から不安や不眠の症状に至るまで抗精神病薬を処方され、その割合はもはや精神病国家と言えるだろう。

こうした抗精神病薬の爆発的な使用の増加が"非定型抗精神病薬"として知られる製薬企業の新しい薬の登場と一致しているのは、決して偶然ではない。1990年代のジプレキサ (Zyprexa) 、リスパダール (Risperdal) 、セロクエル (Seroquel) に始まり、2000年代の初めにはアビリファイ (Abilify) が発売。これらの薬はハルドール (Haldol) やソラジン (Thorazine) など、従来の抗精神病薬に比べて効果が高いと大いに宣伝され、さらに重要なことに、従来の薬よりも有害な副作用、特に振戦、その他運動障害が出ないとされたのである。

価格が高く、震えやよだれを垂らすこともなく、感情や行動を改善させる特許のとれる薬物として非定型抗精神病薬は、製薬業界の向精神薬リストの中でもトップに位置する期待の大型新人となった。売り上げは順調に伸び、2009年を迎えるころには、セロクエルとアビリファイが製薬企業の年間総売り上げで5位と6位に入り、非定型抗精神病薬トップ・スリーの処方数は、合計2000万件に達した。抗精神病薬は、突如としてもはや精神病だけの薬ではなくなったのである。

拡大される抗精神病薬の用途

医師への贈答品、学会に名を借りた接待旅行、エゴをくすぐる賞の授与、研究費の資金提供…今やほとんどのアメリカ人は、製薬企業が医者に一番利益率の高い最新の薬を処方させるためにどのような心理作戦を展開しているかを承知している。「ビッグファーマ (大製薬会社) の一番のターゲットは精神科医です。精神科の診断がきわめて主観的なものであるのがその理由です」。そう語るのは、製薬企業がアメリカの医学界にどのような影響を及ぼしているかを追跡調査するプロジェクト、"ファーマアウト (PharmedOut) "を立ち上げ、先月ジョージタウンでその問題を議論するカンファレンスのホストを務めたエイドリアン・フュー・バーマン博士 (Dr. Adriane Fugh-Berman) である。精神科の医者というのは血液検査やMRIで何が問題なのかを正確に把握できるわけではない。従って、処方が診断となるケースがほとんどなのである (ある抗うつ薬を服用して症状が改善すれば、うつ病ということ)。製薬企業の影響を研究したフュー・バーマン博士らは、「精神障害を判定する生体検査が存在しないがゆえに、製薬企業の影響に対して精神医学は特に脆弱である」という。そのため、精神疾患の診断や治療指針は、医者がメルク社から多額の補助金をもらったり、アストラゼネカ社の株を保有することで書いたものではなく、科学的なエビデンスのある客観的評価に基づいてまとめられたものであることが、特に重要であると主張する。

ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(The New England Journal of Medicine)の元エディターであり、ビッグファーマ批判の中心人物であるマーシヤ・エンジェル氏 (Marcia Angell) は、「精神科医なんて製薬企業のポケットの中にいるようなもの」と吐き捨てる。また、精神科医のバイブルと称される『精神疾患の分類と診断の手引 (DSM)』の大部分は、製薬企業との癒着の産物であるとも指摘。同様に、米国精神医学会が作成したうつ病、双極性障害、統合失調症治療の臨床ガイドラインを書いた20人の精神科医のうち、18名が製薬企業と金銭的関係にあったことが2009年の調査から判明している。

ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス (The New York Review of Books) の最近の記事でエンジェル氏は、この状況を『アメリカ人に広がる「見せかけの精神病の大流行」』とし、抗うつ薬や抗精神病薬を含む向精神薬の服用が爆発的に増加しているが、本当にこうした新しい薬に効果があるのであれば、「精神疾患の流行も、広がるのではなく減少してしかるべきもの」である。ところが、「精神障害のために追加保障所得 (アメリカにおける低所得の(低賃金だったため年金受給資格がない)高齢者・全盲者・身体障害者への所得保障制度。日本の生活保護に類似=SSI) や社会保障身体障害保険 (アメリカ連邦政府が運営する社会保障の保険料によって賄われる身体障害者のための補償制度=SSDI) の受給資格がある人の数が、1987年から2007年の間におよそ2.5倍の184人に1人から76人に1人の割合にまで増加している。子供の場合はさらに驚くべき増加である。同じく1987年から2007年までの20年間で、その数はなんと35倍にまで膨れ上がっている。今や障害の第一原因は精神疾患である」とする。ビッグファーマの指揮のもと、「私たちほぼ全員が何か1つは精神疾患があるように、精神病の評価基準をただ広げているに過ぎない」のである。フュー・バーマン氏もこれに同意する。強引な薬のマーケティングが行われる時代においては、「全く正常な人を多数含めるところにまで、精神科の診断が拡大さている」とバーマン氏。

費用対効果分析

この新しい抗精神病薬の過剰処方に関し、とりわけ問題となるのは、若年者と高齢者、つまり服用する薬剤について自ら判断できない層での、これら薬剤の広がりである。抗精神病薬の使用調査からうかがえるのは、その使用目的が、若年者や高齢者の場合は、本来の精神病治療を目的とするよりもむしろ抑制や鎮静のために用いられていることである。

カール・エリオット (Carl Elliott) 氏は、雑誌「マザー・ジョンズ」誌上で次ように述べている。「双極性障害の非定型薬による治療の可能性が取だたされるやいなや、いきなり双極性障害の診断数が激増した。特に顕著だったのが子供に対する診断数である。コロンビア大学が最近行った調査では、双極性障害として治療を受けた子供や若者の数が、1994年から2003年の間に40倍にも増加した」。 また他にも「精神科を受診した5人に1人の子供が抗精神病薬を処方されていた」とする調査もある。

パーム・ビーチ・ポスト紙 ( Palm Beach Post) が5月にシリーズで取り上げた注目すべき記事は、フロリダ州の青少年司法局が抗精神病薬を少年院などに文字通り垂れ流し、連邦政府の監督機関が何があっても承認しないようなことを理由に、「日常的に」入所者の若者にばら撒いていたことをあばいた。それも信じがたいほどの数なのだ。「例えば2007年には、イブプロフェン (ありふれた解熱、鎮痛、抗炎症薬) の2倍もの量のセロクエルを青少年司法局が購入。2年間でトータルで326,081錠ものセロクエル、アビリファイ、リスパダール、その他抗精神病薬を州少年院や児童施設で使用するために購入・・・つまり、これら施設の合計収容人数が2,300人であることを考えれば、2年間、毎日休みなく446錠が少年院や矯正プログラムを受ける少年、少女たちに配られていた計算である」。さらに同紙がつかんだのは、「過去5年に青少年司法局と契約を結んでいた精神科医の3人に1人は、抗精神病薬メーカーである製薬企業から講演謝礼金を受け取っていた」という事実であった。

重い精神疾患の診断を拡大させることに加え、製薬企業が医者に勧めてきたのが非定型抗精神病薬のオフラベル・ユース (承認適応症外使用) である。ある有名な例では、興奮や不安、不眠などの症状と同様に、アルツハイマーやその他認知症の症状がある高齢者の介護者に対し、イーライ・リリー社はジプレキサの使用を強引に勧めていた。報じられるところでは、介護施設の医師への売り込みにMRが使ったスローガンは、"five at five"- つまり、夕方5時に5ミリグラムのジプレキサで鎮静をかけ、介護者の負担を軽減しようとするものであった。FDAがリリー社に対し、そうした薬の使い方は承認外であり、高齢の患者には肥満や糖尿病の原因となると警告したのちも、こうした習慣は長期間続いたのである。

2000年の始まりから2年間ジプレキサを扱った経験のあるMRのシャーハム・アハリ (Sharham Ahari) 氏は、2006年のビデオインタビューで、MRがどのように医者を丸め込み、ジプレキサを処方する気にさせるかを私に語ってくれた。当時、彼のクライアントであった医者たちは、ジプレキサに関連する糖尿病とともに、体重の増加で患者が「キレる」ことに大変苛立ちを見せていたと言う。「副作用は小さく見せ、薬の効果だけに集中するように私たちは指示されていました・・・食事前後、そして薬の服用前に水を一杯ずつ飲むことを勧めたのです。そうすることでお腹をいっぱいにしておくことができると考えて。」 それでこの問題を難なく脱し、売り上げを伸ばした。医者が文句を言うと、「"当社の薬は最新です。それ以上に重要なことはありますか?先生は患者の回復を願っているのですか。それとも同じままでいいのですか。痩せこけた精神病患者のままと、太って安定した患者のどちらがいいのですか?"と医者に言ったのです」と、彼は振り返る。

製薬会社にとっては、強引な販売促進を継続するかどうかを決めるのは、副作用がどうのよりも、費用対効果分析の問題であると彼は言う。オフラベル・ユースで薬の販売を継続するほうが、あるいは訴訟問題を抱えることになっても、薬の販売をやめた場合と比べ、どちらの方が金になるかという問題なのだ。2009年1月、米司法省によって起こされたリリー社に対する訴訟では、リリー社が14億ドルを支払うことで合意。そのうち5億1500万ドルは刑事上の罰金として支払われたが、これは医療裁判史上最高額であり、一企業が刑事訴追で課せられた過去最高の罰金額でもあったことを、和解成立時に司法省は発表している。しかしその年だけでもリリー社のジプレキサの売り上げは、18億ドルにも達していた。

引き起こされる患者の悪化

議論の余地もない正真正銘の精神病患者にとっても、非定型抗精神病薬が最良の選択肢ではない可能性すら出てきている。

これらの薬は、それが取って代わった旧世代の安価な薬剤に比べ、実際にはさほどの効果があるわけではなく、糖尿病など以前の薬にはなかった副作用もあり、患者を重度の精神疾患という陰鬱な世界の深みへと陥れるものであると考える医療従事者も増えてきている。これらの薬でうまくいったという話があると同時に、実質上のゾンビ状態になったという報告例もある。

エリオット氏は「マザー・ジョンズ」誌に次のようにレポートしている。「ランセット誌に掲載された別の大規模分析から、ほとんどの非定型薬が実際には古いタイプの薬ほど効果がないことが判明している。これについて同号に掲載された二人のイギリス人精神科医、"British Journal of Psychiatry" 誌のエディターであるピーター・タイラー博士 (Dr. Peter Tyrer) と、英国王立精神医学校 (the Royal College of Psychiatrists) のティム・ケンダル博士 (Dr. Tim Kendall) の書いたエディトリアルは非常に手厳しいもので、「非定型薬という偽りの発明は、マーケティングを目的に製薬企業が巧妙に操作しただけのものであり、ようやく今になってそれが暴露されたに過ぎないものであるとみなされよう」というものであった。

結論:抗精神病薬を国中にばら撒くビッグファーマと、そこに寄生する精神科医一味に歯止めを。
Bottom line: Stop Big Pharma and the parasitic shrink community from wantonly pushing these pills across the population.




アルジャジーラについて (ウィキペディア

アラビア語と英語でニュース等を24時間放送している衛星テレビ局。本社はカタール・ドーハにある。

アルジャジーラは自らを「公正で政治的圧力を受けない、中東で唯一の報道機関である」と謳っている。実際に英国のIndex on Censorship(検閲に関する問題を扱う雑誌。1972年創刊)では、2005年に「アラブ諸国における自由な情報交換を促進し、検閲を拒否する勇気」の一例として紹介されているし、アメリカにおいても1999年のニューヨーク・タイムズ紙に「アラブ諸国で、最も自由で最も広い観点を持つテレビネットワーク」と評されている。 

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先日、抗精神病薬による強制的鎮静化(化学拘束衣)により毎日5人の認知症患者が死亡している事実を明らかにし、警告を発したイギリス保健省。
http://www.telegraph.co.uk/health/healthnews/8652593/Five-dementia-sufferers-die-every-day-from-chemical-cosh-drugs.html

一方、「製薬企業が医者に一番利益率の高い最新の薬を処方させるためにどのような心理作戦を展開しているかを承知」せず、今なお堂々と見え透いた手口が通用する多剤大量処方をお家芸とする日本はどうか。

「誤診率90パーセント以上」とDSM-Ⅳ編集議長すらが警告する「精神科早期介入(支援)」事業を推し進める三重県立こころの医療センター
そこにはもちろん「認知症疾患医療センター」というのもあり、そのホームページには「精神科医の鑑別診断治療」として、「認知症そのものの治療はもちろん、改善が難しい場合でも、不眠や興奮など周辺症状の治療を受けることで、落ち着かれる場合があります。いちど診察を受けられてはいかがでしょう。保険診療です。保険証をお持ちください。 」とまで堂々と説明されている。

精神科による周辺症状の治療で落ち着く???

つまり"five at five"・・・「そうした薬の使い方は承認外であり、高齢の患者には肥満や糖尿病の原因となる」とFDAが警告する精神科薬剤による化学的拘束と鎮静化。

早期介入で子供や若者の人生を食い物にし、高齢者までもターゲットにした、まさしく製薬企業が操る金目当て精神科医療。

こうした寄生虫をこそ拘束・駆除しない限り、原発のさらなる事故を待つことなく日本は滅び去る。

抗うつ薬がうつ病を引き起こす - CBS NEWS

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Do antidepressants cause depression?
What new study says
By David W Freeman

『抗うつ薬がうつ病を引き起こす?』 
新たな研究が語ること

うつ病の原因は何か。これまで科学者は、情緒的ストレスや薬物の乱用から遺伝子の問題にたるまで、ありとあらゆるものをその原因に挙げてきた。そして今回、また新たな研究からわかったことは、これまでほとんど疑われることもなかったもので、議論を呼ぶものである。

その原因とは・・・抗うつ薬の服用である。

"Frontiers of Psychology (フロンティア・オブ・サイコロジー) "誌に発表された研究によると、抗うつ薬を服用した人の方が、服用しなかった人に比べ、大うつ病を再発する傾向がはるかに高かったのである。

この研究を行ったマクマスター大学 (McMaster University) の進化心理学者、ポール・アンドリュー博士らは、抗うつ薬を使用した患者とプラセボを使用した患者の転帰を比較したこれまでの研究を分析。その結果、抗うつ薬を服用した患者の再発率が約42パーセントであったのに対し、服用しなかった患者では25パーセントであることがわかった。

全人口の40パーセントが生涯に1度は経験すると言われるうつ病。その発作的症状を、抗うつ薬の常用者は約2倍も起こしやすいことになる。

では、なぜうつ症状を緩和するために医者が処方する薬でうつ病が再発するだろうか? アンドリュー博士がCBSニュースに寄せた文書での回答によれば、どの種類の抗うつ薬も、脳の2つの神経伝達物質、セロトニンとノルエピネフリンに働きかける。抗うつ薬の服用をやめることで脳が"過剰修正"してしまい、それが新たなうつ病を引き起こすのだ。

「これらの薬は、ある程度、それも短期間に限って症状を軽減するものです。問題は長期間の服用です。私たちが行った研究から考えられるのは、薬を止めようとすることでうつ病が復活することです。これが、症状の再発を防ぐために抗うつ薬を飲み続けるという循環に陥らせてしまっています。」

ではこの研究からうつ病の人が学ぶべきこととは。

「私は臨床家ではありません。しかしもしそうなら、可能な限り抗うつ薬の処方は避けるでしょう。たとえ抗うつ薬の効果を超えることはなくとも、それと同等の効果がトーキング・セラピー (言葉による治療) にはあり、それには再発増加のリスクもありません」と博士は言う。
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すでに製薬企業と御用精神科医のデタラメぶりが国民に知れわたり、製薬企業とともに児童の双極性障害を売り込むマーケティングで活躍したハーバード大の児童精神科医ビーダマン医師らも大学の倫理委員会から処罰を受けるなど、製薬企業の悪徳マーケティング手法が通用しなくなったアメリカ。

実際には以前から数多くある「薬物治療こそが精神疾患を悪化させている」とするこうした研究を、メジャーメディア (CBS NEWS) が取り上げた意味を、日本の「名ばかり"心の専門家"詐欺集団」たちもよくよく考える必要がある。

いつまでも害毒を垂れ流すだけの「幼稚園のままごとレベル」医療では通用しない。
拡大よりも自らの身の抜本改革を。

「英国式アウトリーチに学ぶ」に学ぶ、英国式保安処分

「英国式アウトリーチに学ぶ」に学ぶ、英国式保安処分

厚生労働省の資料にもあるように、建前上は社会的入院を減らして精神障害者を地域で支援する医療体制の構築が謳われるアウトリーチ。
精神病院の病床削減との引き換えだろうが、そこにしゃしゃり出たのが、90パーセント以上の誤診・誤処方偽陽性率を誇りながら、決して自らの愚行を顧みない「精神科早期介入」。

この早期介入の『高濃度汚染地域』である三重県、その「三重県立こころの医療センター」の広報誌に「英国式アウトリーチに学ぶ」というのがあり、1、受診前の相談でアウトリーチ 2、学校にアウトリーチ 3、受診につなげてアウトリーチ (PSW 中山愛美) と謳われ、強制介入のような文句が並ぶ。

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一方、世界精神医療ユーザーサバイバーネットワーク(WNUSP)理事の山本眞理さんによると・・・

「私たち「精神病」者にとってはいわゆるソーシャルワーカーやましてや精神保健福祉士は何も知らない、まったく無知、一体なんで彼らに相談支援をさせられるかという思いでいっぱいです。

私たち障害者団体は彼らワーカーの後始末に奔走しています。

なんせ彼らの専門課程のカリキュラムには、生活保護や障害年金の実務については一切ない、ちょっと資料を確認すればいいことでも有資格者は答えられません。そして実習先には介護支援事業所も、障害者団体も指定されていません。

さらに本人を取り囲んで実質さまざま強制します。 

最近あった相談の例では、退院の条件として毎日ヘルパーを入れることといわれてつらくてたまらないという話でした。各地で支給量が足りないという声が多いのに、嫌だという人にはこういう押し付けがされています。

必要なのは相談支援ではなくて、アドボケイトです。」


その山本さんのホームページには、「イギリスの保安処分制度の実態」と題された一文がある。
そこに記された事実は「三重県立こころの医療センター」の広報誌にあるようなオイシイ話では決してない。

----- (以下、転載) -----

「心神喪失者等医療観察法案」が今国会で審議されています。この法案について賛成の立場から発言している山上皓東京医科歯科大学教授は、欧米の保安処分制度を高く評価し、その宣伝に努めています。しかしながら、たとえばイギリスの保安病棟の実態あるいはそのシステムが取り返しのつかないほどの人権侵害を引き起こしていることを、ちょうど今イギリスのインデペンデント紙がキャンペーンを行っています。

不定期拘禁の実態
インデペンデント紙「たとえ回復しても出口のない高度保安病棟」(6月16日付)では3つの高度保安処分病院(ブロードモアなど)には、すでにそこにいる必要がないと判断されている患者が、行き場がないため400人待機リストに載せられたまま拘禁され続けていることを暴露しています。権利擁護のための審査機関もその審査そのものが間に合わずに迅速な審査すら行われていない実態が暴露されています。

 またひとつのケーススタディとしてすでに22年間ブロードモアに拘禁されている女性作家の例も挙げられています(インデペンデント紙「高度保安病棟 ジャネットは22年間入れられている。狂っていると認めない限り彼女は釈放されない」6月16日付)。彼女は殺人事件をおこしたわけでもなく、菜切り包丁で精神科医のおしりを刺したというだけで22年間拘禁されています。

 彼女の行為で一般の刑事手続きで実刑判決を受けたとしてもこれほど長期間の終身刑並の拘禁はされません。彼女は自分が危険な精神障害者であると認めず内務省の管理下で生活することを拒否しているため釈放されないのです。そもそも今日の基準であれば彼女は高度保安病棟に送られることすらなかっただろうと専門家は語っています。ジャネットと交流している方の意見によれば、これは単にひとつの例でしかありません。今回の法案が成立すれば、こうした無期限の拘禁が生じていくことは明白です。

 いったん特別な施設を作ると、一般の精神病院が許容力を失いすぐさまその施設は満杯となって、どんどん増設せざるをえなくなります。たとえ今回の法案が成立しても精神障害者の事件はおき続けますし、そうしたときまたもや対象者の拡大の声があがることは確かです。イギリスでは一人当たり年間2600万円以上もの費用を使い、日本より少なくとも法的にはましな人権救済システムを用意されていても、上記のような実態です。今回の法案が「社会復帰」を目的と称していても、現実には受け入れ場がなくなり、特別な施設に拘禁され続ける実態を生み出すこともこの記事で明らかになっています。

対象者の拡大 恐怖に支配されていく精神医療
 さらに最近イギリス政府が発表した精神保健法「改正」の草案によると、なんら犯罪にあたる行為をしていない患者でも高度保安病院に収容できるようになり、また治療可能性のない人格障害者であっても収容できるようできることになります(資料「精神病者は法律を破る前に収容される」参照)。

今回の特別立法や「処遇困難者病棟」あるいは何らかの特別病棟の新設によって、「精神病院の開放化がすすむ」あるいは「地域精神医療が促進する」「精神医療が本来の医療に専念できる」などという、宣伝あるいは意図的誤解が日精協を中心になされておりますが、このインデペンデントの記事(掲載資料末「恐怖製作所」参照)あるいはオックスフォードの教科書によれば、むしろ保安処分の存在するがゆえに、精神科医はじめソーシャルワーカなどなどすべてのサービス提供者側に対して、「犯罪の危険の予測とその防止」の任務が押し付けられ、訴えられるというおびえゆえに、強制力の行使が行われるという実態が明らかになっています。

インデペンデント紙でもオックスフォード教科書でも「犯罪の予測と防止」というできないことを要求される精神科医の困惑というか苦悩が語られていますが、今回の特別立法を許せば、こうしたことは日本でもおきてきます。もちろん今での措置解除に関しての「おびえ」は精神科医にあるでしょうが、それをどこかに判断してもらう体制を求めることでかえって、精神医療全体が社会防衛的治安の道具にされてしまうと私は考えます。

今回の特別立法を許せば、保安処分制度は一人歩きし、その対象者は拡大され、どうしようもない人権侵害状況を生み出すことは、イギリスの状況を見れば明らかです。

----- (転載おわり) -----

>システムが取り返しのつかないほどの人権侵害を引き起こしている
>なんら犯罪にあたる行為をしていない患者でも高度保安病院に収容できる
>精神病者は法律を破る前に収容される

ここで思い出すのは、何度か取り上げた前述の「三重県立こころの医療センター ユース・メンタルサポートセンターMIE」の PSW 中山愛美 が早期介入の根拠として引用したKim Cohen J et a1.2003 という論文。

Conclusions: Most adult disorders should be reframed as extensions of juvenile disorders. In particular, juvenile conduct disorder is a priority prevention target for reducing psychiatric disorder in the adult population.
「結論:成人期(精神)疾患のほとんどは、若年期疾患の延長にあると見直されるべきである。特に若年期の行為障害は、成人人口の精神疾患を減らすための予防優先対象である。」

「行為障害=conduct disorder」とは、「行為障害の少年は『非行少年(犯罪少年・触法少年・虞犯少年)』と言われることが多く、反抗挑戦性障害の少年は、危険な犯罪性は殆どないが学級崩壊や授業の混乱を引き起こす『問題児』と言われることが多い」とされ、まさに英国式保安処分の早期介入。

前述の「イギリスの保安処分制度の実態」には、最後にこのようにある。

「山上皓の以下の研究報告書は公表されています。
厚生労働省資料室か国会図書館で読めます。

平成13年度「精神障害者の自傷他害行為への対応とその防止に関する医療体制等の整備に関する研究」
主任研究者 山上 皓
分担研究社 筧 淳夫 山上皓 加藤久雄

明確に「専門的司法精神医療システム構築」という言葉で保安処分制度新設を主張し、欧米のシステムの内容とその利点を宣伝していく必要を述べています。

分担研究の内容は「自傷他害行為を示す精神障害者の治療環境整備のあり方についての研究 」(主に施設面 国内の国立肥前と松沢およびイギリスの施設視察、施設計画のための指針モデルプラン)、「自傷他害行為を示す精神障害者に対する治療活動の実態とその改善策についての研究」(触法精神障害者処遇実務研究会2回群馬と福岡イギリスの視察。ちなみにこの分担研究には町野朔教授も入っています。川本哲郎教授は報告者として参加)。「精神障害者の治療環境の改善に必要な法整備についての研究」(内外の研究者を呼び6回の医事刑法研究会を開催、外国からはイギリスのガン教授、ドイツのラトケ教授、ネドピル教授いずれも司法精神科医)。」


『松沢』

早期介入を唱え、西田淳志らとともに三重県を「早期介入高濃度汚染地域」にしたのが岡崎祐士。

松沢病院の院長である。

統合失調症の誤診乱発も、単にcamouflageに過ぎないのかもしれない。

一体何を企んでいるのやら・・・。

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時に医療従事者の無知も凶器である。

旅費・宿泊費・謝金あわせて約70万円を受け取った公務員 - それでも報じない日本のマスコミ

MSD,日本の医師へ不適切な金銭供与2億円余

薬害オンブズバースン会議

2011-07-17


日本の大手製薬企業MSDが、自社製品の販売促進のため医師への不適切な金銭提供などを行ったなどとして、業界団体である日本製薬工業協会(製薬協)から2011年7月15日会員資格停止処分を受けた。会員資格停止は、除名に次ぐ重い処分。MSDは2010年秋に同様の行為で同協会から警告処分を受けたにもかかわらず、その後も違反行為を続けていたことが判明したため厳しい処分となった。

 問題はその違反行為の中身である。これについては日刊薬業が、2011年5月20日の紙面で、MSDのトニー・アルバレズ社長の会見内容を伝えている。同紙によれば、社内調査の結果、判明した違反行為の概略は、以下の通りである。

①海外での医師向け研修」
 2009年10月から昨年10月に経口糖尿病薬「ジャヌビア」の使用実績が多いオーストラリアの糖尿病研究・臨床施設で開催した研修プログラムに延べ48人の糖尿病専門医を派遣。1人当たり謝金5万円と旅費・宿泊費など約65万円を渡した(注:派遣された医師の中には公務員、みなし公務員も含まれている)。

②ワクチンのアドバイザリーパネル
 HPVワクチンの実情・普及などのアドバイスを得るため、2010年9月から11月に実施したアドバイザリーパネルで延べ24人の参加医師に1人当たり7万円、コンサルタントミーティングで延べ64人の参加医師に1人当たり3万円の謝金をそれぞれ払った。(注:MSDはHPVワクチン「ガーダシル」の申請中だった。その後2011年7月に同ワクチンは製造承認されている)

③コレステロールに関するアドバイザリーパネル
 高脂血症治療薬「ゼチーア」に関するアドバイスを得るため、2009年1月から2010年9月にアドバイザリーパネルを実施。勤務医対象パネルの参加者延べ2106人に1人当たり7万円、開業医対象パネルの参加者延べ1162人に1人当たり3万円を渡した。

④インターネット症例報告収集
 他社の高血圧治療薬から同社の配合剤「プレミネント」に切り替えた場合の症例データを収集するプログラムを2010年11月に開始。医師に対し1症例につき1万円分の商品券を提供する予定だったが、外部からの指摘で12月に中止した。


 今回発覚した供与金額の合計は約2億2000万円。延べ3400人余の医師に流れた。こうした大規模な金銭提供が、国内の医師の処方に影響を与えないと考えるのには無理がある。
 しかも今回の問題発覚のきっかけになった業界団体「医療用医薬品製造販売業公正取引協議会」によると、2010年度に同会の規約違反で処分を受けた11件のうち、問題の大きい「本部レベル違反事例」は今回のMSDを含む3件であったが、他の2件(社名は公表されていないが)の違反内容は「複数府県で継続的に公務員に飲食接待」と「外国で開催された国際学会に参加した公務員を含む医療担当者に対する飲食接待」であり、いずれも今回と似たようなケースだった。MSDの件は、たまたま発覚した氷山の一角かもしれない。

 そしてさらに問題なのは、日本の大手メディアが、今回のMSDの不適切な金銭提供事件について、ほとんど報じていないことである。製薬協による資格停止処分について、共同通信がわずか196字の記事で処分した事だけを伝えたが、金銭提供の具体的中身には一切触れられていない。金銭提供について詳報したのは日刊薬業などの業界紙のみであり、NHKや朝日・毎日・読売といった全国紙は、処分についても不適切な金銭提供についても一切報じていない。中には旅費・宿泊費・謝金あわせて約70万円を受け取った公務員もいるという事実は取るに足らないことなのだろうか。ニュース判断の基準はいったいどうなっているのか。
 規制当局である厚生労働省も、このことについてはコメントさえ出していない。

 米国では、2013年から、製薬企業が医師や研修病院に対する10ドル(約800円)以上のすべての支払いを、一般市民が見ることができるデータベースに公開しなければならないとする改革法”Patient Protection and Affordable Care Act”のサンシャイン条項が実施される。日本でも法的規制で金銭授受を明確化するべき時期である。
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多くの若者に医原性の害を与える精神科早期支援 (早期介入) - DSM-IV タスクフォース議長 アラン・フランセス氏

Continuing Controversy On Australia's Mental Health Experiment
Seven questions for Dr McGorry

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Published on June 13, 2011 by Allen J. Frances, M.D. in DSM5 in Distress

オーストラリアの早期介入実験-継続する議論 
マクゴーリ博士への7つの質問
DSM-IV タスクフォース議長 アラン・フランセス医学博士



オーストラリアの早期精神病予防介入センター (Early Psychosis Prevention and Intervention Centres = EPPIC)に関する私の懸念は、両陣営に強い意見を巻き起こした。EPPICプログラム推進派の意見としては、この分野では卓越した研究者であるアリソン・ヤン博士 (Dr Alison Yung) の以下のものがベストである。

「精神疾患リスクがあると思われる若年層を見つけ出し、介入を試みることの危険性に関して、フランセス博士はいくつか正当な主張をなさっています。これは私が15年間研究してきた分野ですが、次のような問題があることを十分に認識しています。例えば、実際にはそうではないにもかかわらず精神病を発病する前状態にあると誤診する問題、スティグマの問題、レッテル張りの問題、薬物治療を含め、不必要かつ有害な治療を施す問題などです。こうした理由から、私たちは「精神病リスク症候群 (Psychosis Risk Syndrome) 」、あるいは「弱性精神病症候群 (Attenuated Psychosis Syndrome) をDSM-5に含めることに反対しています。しかし、フランセス博士は精神病発病前の患者を見つけ出して治療すること (ウルトラ・ハイリスク・ストラテジー) と、早期精神病予防介入センター(Psychosis Prevention and. Intervention Centre = EPPIC) モデルを混同されています。EPPICモデルが治療対象とするのは、すでに確立している精神障害のある若年層です。EPPICプログラムの対象となるのは、精神病の初回エピソード発症後12ヶ月以内の患者です。二次的な疾病および障害の予防がEPPICの目標です。精神障害に関連する多くの悪化は、抑鬱や意気喪失、再発に対する恐怖、薬物の使用、仲間や家族とのつながりの断絶、また学校や仕事の中断など、心理社会的な困難によるものであると考えられます。少量の抗精神病薬、認知療法、家族との関係づくり、また就労問題にも介入することで回復に向けた問題にも注意を払うなど、科学的根拠に基づいた治療を通して、これら社会心理的な諸問題を最小限にとどめ、さらなる障害の予防をEPPICは試みています。これが、「早期精神病予防介入センター (EPPIC) 」という名称の意味する「予防」なのです。」

一方、オーストラリアのEPPIC反対派は、その妥当性とEPPICの普及に伴う突然の巨額な投資に対し、それほど楽天的な見方をしていない。反対派が懸念するのは、EPPICプログラムが実際に行われる医療現場においては、ヤン博士の唱える適切な目標や方法とは根本的に逸れたものになる可能性だ。EPPICの現場医療従事者が、十分に確立した初期精神分裂病 (統合失調症) 患者、つまり偽陽性率が低く、治療の必要性が明確であり、治療を施されることによって十分な利益を得る可能性がある患者のみが対象となる保証が、一体どこにあるのかということだ。この「予防」に負託された概念をEPPICに従事する者が、意図的にしろ無意識的にしろ、より野心的に拡大解釈することで、不確かな「精神病リスク症候群」にまで容易に対象が広がり、有害な治療を受けることになる。EPPICに反対するものが要求しているのは、正確に診断された精神疾患エピソードの患者だけをセンターが対象とすることである。センターが勝手に自らの都合の良い精神疾患患者を創り出さないことはどのように担保されるのかということだ。

実際の臨床現場が不確実であることを考えれば、この問題はさらに厳しいものとなる。"prepsychotic" と "psychotic"の境界は、ときにきわめてファジーなものであり、診る人次第でどのようにも取れる (特に若者にありがちな精神に作用する薬物を乱用している場合はそうだ) 。医療支援を受ける要件を満たすために、統合失調症のような境界の不明瞭なケースによこしまな動機から時期尚早なラベルを張り、その結果偽陽性率を引き上げ、スティグマや有害な治療に曝すことに熱心な臨床医がいないとも限らない。

さらに反対論者はEPPICのスピード、スコープ、サイズ、そして巨額の予算にも重大な懸念を抱いている。異なる解釈が可能で、現実の世界にそのまま一般的なものとして普及させることができない極めて限られた結果に基づき、証明すらない予防モデルを国策として盲目的に推し進めることに果たして意味があるのかどうかということである。研究レベルのものを国策にふさわしいモデルとするには、一歩一歩着実にスケールアップを図りながらより強力な研究実験基盤を築く方が賢明ではないか。

また、反対論者には、この十分な検証もない予防プロジェクトに莫大な予算が間違って投入されてしまうことで、すでに効果に証明のあるメンタルヘルスサービスが、それを必要とする患者に行き渡らなくなるのではという懸念もある。疾患初期 (とおぼしき) 若者に巨額の支援が与えられことになれば、間違いなく援助を必要とする明確な統合失調症患者の治療が割を食う。将来それはどの程度になるのか。確かな証明のある治療より証明のない予防を優先するというのは本末転倒ではないのか。

EPPICアジェンダの背後に存在し、その指導理念であり牽引力となっているのはマクゴーリ博士である。「前精神病リスク」なる診断および治療に関する彼のポジションは、年を追って変化してきた。何をEPPICプログラムの使命とし、どこまでをその範囲とするのか、またどういう方法で実施するのかをハッキリさせることが極めて重要である。従って、マクゴーリ博士に次の7つの質問に率直に答えていただき、博士の見解を明確にすることは極めて有効であろう。

1) 「精神病リスク症候群」はEPPICセンターのターゲットとするには不適切かつリスクを伴うものであり、DSM 5にも含めるべきではないとするヤン博士に、マクゴーリ博士は同意されるのか。

2) 「早期精神病予防介入センター(EPPIC)」という名称が意味する「予防」は、第二次予防 (つまり、精神疾患を発病していることが既に明らかである患者のさらなる障害の予防) にあり、厳密に言えば単に将来精神疾患を発病する何らかの理論上のリスクがあるというだけの人の第一次予防を含むものではないとするヤン博士に、マクゴーリ博士は同意されるのか。

3) 「精神病リスク症候群」のある若者に抗精神病薬を使用するには、診断に偽陽性率が高いこと、また薬物の破壊的副作用から適当ではないとするヤン博士に、マクゴーリ博士は同意されるのか。もし同意されるのであれば、確定的で信頼しうる診断のつかない精神病症状のある人には、EPPICが抗精神病薬の使用を確実に排除するようマクゴーリ博士は努力されるのか。

4) 日常の臨床現場における「前精神病」や統合失調症の過剰診断、また抗精神病薬の乱用を防ぐために、マクゴーリ博士はどのような具体的安全対策および管理システムを構築されるおつもりか。

5) こうした手に負えないほど大規模なプログラムには、その使命と実践が遊離してしまうリスクがつきものである。それを踏まえ、マクゴーリ博士はひとつのパイロット・プロジェクトを国家規模の試みへと拡大することの難しさを正しく認識しておられるのか。マクゴーリ博士はどのような運営管理体制を想定しておられるのか。

6) すでに証明のある確かなメンタルヘルス・サービスに割り当てられていた予算をEPPICセンターが吸い上げてしまうことで、いままでの治療を必要とする、またあるいはそれによってベネフィットを得ていた人から結果として乏しいメンタルヘルス・リソースを奪ってしまうことにもなりかねない。そのようなことは起きないとマクゴーリ博士は保証できるのか。

7) 他のメンタルヘルスサービスに向けられていたこれまでの予算がEPPIC に振り分けられる結果としてまず考えられるのは、これまで心理療法がもたらしていたベネフィットの減少である。マクゴーリ博士はその点についてどのようにお考えか。将来的な予算の分配についてどのような考えをお持ちか。


一見したところ、オーストラリアが突如として莫大な予算をEPPICプログラムにつぎ込むのはあまりに法外であり、まだ数十年は時期尚早である。EPPIC がうまく機能する可能性も確かにあるだろう。しかしそれは危険を顧みないあまりに大きな賭けであり、確かな研究と経験というより、単に一人の人間の盲信に基づくものであるように思える。切実にリソースが求められているところには届かず、多数の未成年者に医原性の害を与える-EPPICが無駄に大金をばら撒くだけのとんでもないそうした賭けであることは、あっけなく判明するだろう。国レベルで行う前に、このプログラムが実際の医療現場でうまく機能するかどうかを見極めるために、まずそのコンセプトレベルの証明から徐々に拡大させていくべきものだ。少なくともそうすることが、実施する上で必ず持ち上がる多くの不備を特定し、解決を試みる一つの機会となるだろう。EPPICは白地小切手を受け取るよりも、自らを段階的に証明することが必要である。

EPPICはマクゴーリ博士の持論であり、その内容や実施においても多大な影響力を持つと言えるだろう。マクゴーリ博士はこれまで強力に推し進めてきた第一次予防をどのように修正しているのか。また今はヤン博士の比較的保守的な立場を支持するようになったのかを、オーストラリアは知っておく必要がある。そしてさらに重要なことは、この途方もない実験に一気に突入すべきかどうかをオーストラリア政府は考え直すべきである。EPPICが現実世界で正当に機能するだけの経験と証明を一歩一歩積み重ねることのほうが、はるかに賢明であろう。

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日本でも非常に権威ある医学雑誌として知られる『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』(英語:The New England Journal of Medicine、N Engl J MedないしNEJMと略記)の上級エディター (senior editor) を長年務めたマーシャ・エンジェル博士 (Dr Marcia Angel) の、"Drug companies and Doctors:The story of corruption 製薬企業と医師の腐敗構造" と題された記事には・・・

『"since the pharmaceutical industry has no direct access to people,The medical people are the link and they are heavily influenced by brainwashing " 製薬企業は国民に直接働きかけることはできませんから、"洗脳"の大きな影響下にある医療従事者にその橋渡しをさせます。・・・・And indeed, most doctors take money or gifts from pharmaceutical companies one way or another.and Many are being paid for advice or for giving lectures sponsored by the company, as well as for writing articles on behalf of the pharmaceutical companies and conducting research 'apparently' that its main contribution is to provide those medicines to their patients and disseminating the information even further.What is it if not a total contrast of interest? and this is how the medical world runs. 医師をはじめ、ほとんどの医療従事者には、食事や金品、コンサルタント料や企業が後援する講習会などの講演料、株式、また企業が業者に依頼して書かせた書籍にアカデミックな医者を著者とするなどを通して、多額の金がばら撒かれています。・・・・In recent years pharmaceutical companies have begun to refine a new and very effective technique to expand their markets.Instead of advancing the treatment of diseases, they began to promote diseases to fit their drugs.The strategy is to convince as many people as possible (along with their doctors, of course) that they have medical problems that require a long-term medical care. And on this it said: "How can a normal behavior becomes a disease ....".in order to promote the excessive new terms,the drug companies are giving them names that sounds more serious.Therefore, heartburn is now "gastro esophageal reflux disease",the stress that many woman suffer from before their menstrual cycle is a "disorder and PMS" and shyness is "social anxiety disorder". There is also the "post traumatic stress disorder."... When a company receives approval from the FDA to market a drug it is launching an extensive media campaign, including posters on bus stops around the country showing people sad and below them the words: "Imagine being allergic to people..." and the sales leap.Or as Barry Brand, the product manager of Paxil said: "Every marketer's dream is to find a customer segment market that is not yet identified and to develope it.This is what we are doing with social anxiety disorder. 製薬企業がマーケット拡大のために最近使う非常に効果の高いテクニックは、疾患に対する治療薬の効果を高めるのではなく、すでに製薬企業が持っている薬に合わせて、病気そのものをプロモートする手法です。医師などの医療従事者を含め、できるだけ多くの人に「これは病気なのだ」と信じ込ませ、長期の医療ケアが必要だと思わせる。そのために、今まではごくありふれた、あるいはごく普通の状態であったものに仰々しい名前を付ける。胸焼け→逆流性食道炎、女性なら誰でもが経験する月経前のストレス→月経前気分障害、羞恥心→社会不安障害。捏造と隠ぺいによる研究データ、製薬企業がスポンサーの患者家族会やロビイストらの活動でFDAの認可が下りるやいなや、一気呵成にメディアを通して宣伝攻勢をかけます。「まだ誰も気づいていないマーケットを掘り起こして拡大させることは、マーケッティングをやる人間の夢だ。社会不安障害を使って我々は大きなマーケットを創り出した」とパキシルの製品担当マネージャー・・・mainly because it gives them access to highly influential faculty physicians—referred to by the industry as “thought-leaders” or “key opinion leaders” (KOLs). These are the people who write textbooks and medical journal papers, issue practice guidelines (treatment recommendations), sit on FDA and other governmental advisory panels, head professional societies, and speak at the innumerable meetings and dinners that take place every year to teach clinicians about prescription drugs. Having KOLs like Dr. Biederman on the payroll is worth every penny spent. 製薬企業が薬の販売に利用するのは、彼らが「思考リーダー“thought-leaders”」あるいは「キー・オピニオンリーダー“key opinion leaders” (KOLs)」と呼ぶもので、医学教科書、医学雑誌に名を連ね、治療ガイドラインを作成し、FDAや政府の審議会に入り込み、学会で医師相手に講演をするアカデミック機関の影響力ある医師たちでです。そういう医師らに製薬企業はカネを惜しまない・・・」

現在、日本でもマクゴーリらの唱える「早期支援」が、以下のような医療機関・学会・行政によって強力に推し進められている。

● 東北大学病院精神科 SAFE クリニック

● 東邦大学医療センター イル ボスコ

● 三重県四日市市 YESnet

● 三重県津市 こころの医療センター ユース・メンタルサポートセンター MIE (YMSC YAC YU)

● 松沢病院 ユースメンタルサポートセンター松沢(わかばWAKABA)

● 東京大学医学部付属病院精神神経科

● 日本精神保健・予防学会

これら「早期支援」推進機関に共通するのは、支援や援助、介入の重要性をこれ見よがしなほどに唱えながら、DSM-IV タスクフォース議長も懸念する90パーセントを超える誤診率・偽陽性率、そして深刻な副作用のある精神科薬剤の誤処方には、一切触れられていないことである。

医療に求められるのは、「少なくとも患者に害を与えない」ことである。

患者がベネフィットを得るのに本当に必要なのは、製薬企業がばら撒くKOLsへのカネを断ち無知なるがゆえに刃物を振り回していることにも気付かない医療従事者の洗脳を解くことである。

そうしてはじめて支援・援助の道が開ける。

マクゴーリを支持する岡崎祐士西田淳志水野雅文らのKOLたちも、DSM-IV タスクフォース議長の7つの質問に答えるべきだろう。

精神科 早期介入 裏事情

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Drug Companies ‘Just Say No' to Psych Drugs
Decline of psychopharmacology research provides society with an opportunity

Published on June 30, 2011 by Robert Whitaker in Mad in America


『精神科薬は "ノー" と 製薬企業』
精神薬理学研究の衰退が社会にもたらす一つのチャンス


言わずと知れた精神科薬ブームである。精神科薬に対する2011年度の支出は、400億ドルに達する見込み。しかしこの暴騰市場にもかかわらず、現在、多くの薬品企業が、精神科の新薬開発にそそぐ力を劇的に縮小させている。このように製薬業界が精神薬理学の未来に弱気な態度を取り始め、1988年に鳴り物入りで始まったプロザック時代が、威勢の良い響きではなく、すすり泣くような声で終焉を迎えようとしている3つの理由をあげるのは容易だ。

理由 1. 脳は依然ブラックボックス

過去25年もの間、国立精神衛生研究所(NIMH)やアカデミックな精神科医らは、糖尿病や他の身体疾患同様、精神障害は「脳の病気」であると国民に繰り返し告げてきた。しかし、もしそうであるなら、病気の経過を改善する新たな方法が発見され、製薬業界の新薬開発がもっと華やいでいたことだろう。しかし残念ながら、製薬会社がよく承知しているように、主要な精神障害の生物学的原因は未知のままである。PETスキャンにより、患者グループによって血流に違いが見られるとか、診断カテゴリーの異なる患者では、その脳機能にわずかな差が認められるとする報告もあるだろうが、研究者たちはこれまで精神疾患のdisease pathway (疾患メカニズム) については、何一つとして解明できていない。それ故、製薬企業が新薬を開発するための分子標的がないのである。

これをイギリス神経科学者、ディビッド・ナット (David Nutt) とガイ・グッドウィン (Guy Goodwin) は、最近の"European Neuropsychopharmacology (欧州神経精神薬理学)"誌でこのように報告している。
「精神疾患に、予測および予後バイオマーカーはほとんど存在しない」。そのため彼らは、「薬剤の発見を裏付けるには科学としての欠陥がある」と記している。

今後も私たちは米国立精神衛生研究所やアカデミックな精神医学界が、精神疾患の生化学の解明に大きな進歩を遂げていると耳にし続けるのは間違いないだろう。もう何十年も同じ話が繰り返され、そのたびに、"新たな薬物治療の向上が見込まれる"と聞かされ続けてきたのだ。しかし、製薬企業側がこの分野から撤退することは、また違った現実を明らかにする。精神疾患の生物学的メカニズムは依然として謎のままであり、近いうちに解明できるとは期待できないということである。

理由 2. 米国立精神衛生研究所の助成による研究からわかったプロザック時代の薬物治療の失敗

抗うつ薬SSRIや非定型抗精神病薬の発売とともに、これら新薬は従来のものよりもはるかに優れているとこれまで国民は告げられてきた。製薬企業はまさに「奇跡の新薬 (ワンダー・ドラッグ) 」を開発したかのように思えたものだ。ところが、これらの薬で多数の人が回復して良好な状態を保てるのか、あるいは従来の薬よりも何らかの良い点があるかについて、米国立精神衛生研究所の助成で行われた精神科薬の長期研究では、ことごとくその証明に失敗してきたのである。

すなわち…

● 統合失調症に対する抗精神病薬の使用を調べたCATIE試験では、患者1,432人のうち74%が割り付けられた薬剤の摂取を18ヶ月以内にやめていた。その主な理由は薬剤の「耐え難い副作用」、あるいは薬剤が「効かなかった」ことにあった。また非定型抗精神病薬が標準的な抗精神病薬より良い結果を生むこともなかった。

● 抗うつ薬のSTAR*D研究において、寛解が認められたのは4,041人のうち半数以下、それもごく短期間の寛解。12ヶ月間を終えるまで臨床試験に残り、寛解していた患者は108人。つまり最初のコホート集団の患者のわずか3%に過ぎなかった。

● 4,360人を対象に行われたSTEP-BD研究において、抗うつ薬が双極性の患者にはベネフィットをもたらさないことが判明。さらに、1,742例を対象とした1年間の自然的追跡調査 (naturalistic follow-up study) では、12ヵ月間の調査中に良い状態を保っていたのはわずかに409人 (23%)。他の患者は途中でドロップアウト (32%)、もしくは新たに1つあるいはそれ以上の気分エピソードを経験していた (45%)。

● ADHDの児童を対象に行われたMTA研究において、3年の終わり時点で、「薬剤の使用は有益な結果ではなく、悪化をもたらす有意なマーカー」とされた。6年の終わりには、薬剤の継続的使用は「多動・衝動および反抗的行為障害の症状に関連」し、「全般的機能障害」とも深く関連していた。研究責任者の一人はこう告白している-「(薬物治療には) 有益な効果が全くなかった。何一つとして。」

● 早期発症型統合失調症 (精神分裂症) スペクトラム障害のある10代の若者を対象としたTEOSS研究において、抗精神病薬に反応し、1年間うまく薬剤の服用を続けることができたのは、最初のコホート集団のわずか12%に過ぎなかった。


こうした結果が物語るのは、ほとんどの人に"効果のある"治療パラダイムなどではない。米国立精神衛生研究所のThomas Insel所長は、抗精神病薬や抗うつ薬に関するこれらの研究結果について、2009年の文書にこう記している。
「精神科薬や抗うつ薬が効かない人があまりに多すぎる。また効果のある場合でも、症状を軽減するだけで回復を促すものではない。」

製薬企業にとって、このような好ましくない結果、そしてまた第二世代の薬が第一世代の薬よりも効果があるわけではなかったという事実が、この分野の研究から退くことになった第二の理由である。製薬企業が研究費を投資したいのは、本当にアドバンテージの見込める治療薬 (つまり金になるもの) である。製薬企業が一つの疾病分野で過去に達成したことを積み上げるのを好むのは、それが研究開発への投資が回収可能であると確信させるからだ。ところが精神医学の分野においては、過去40年にわたって精神疾患の研究に何十億ドルもの金を費やしながら、これまで何らの治療上の進歩をもたらさなかったのである。第二世代の薬も第一世代を超える効果を生み出さなかったのだ。従って製薬企業が退くのは、次の粛然たる事実である。精神疾患の生物学的メカニズムに関する何らの新たな知見もなく、はたして将来何らかの変化はありうるのか。さらに何十億ドルも研究開発に費やして、この投資が回収できる見通しはあるのか・・・。


理由 3. プロザック時代の薬剤で信用を失墜させた製薬企業、もはや"新世代のワンダードラッグ"に国民は騙されない

薬品企業が第二世代の精神科薬で一山当てたのは確かである。しかしその成功は本当の治療薬としての進歩ではなく、巧妙なマーケティングがもたらしたものであった。さらにもう一度国民に"新しいワンダー・ドラッグ"が到来したと信じ込ませるマーケティングの扉は、もはや半ば閉じられようとしていることを製薬企業も承知している。

プロザック時代の前までは、アメリカ国民は概ね好ましいイメージを製薬企業に対して持っていた。伝染病やがんの治療薬、そして数々の身体的疾患の治療薬を世に送り出した優れた実績、そうした医学的進歩をもたらした製薬企業に国民は好意を持っていた。製薬企業は国民のそうした好意、そして同時に医学の進歩や学問的医学に対する社会の信頼につけ込み、SSRIや非定型抗精神病薬、その他精神科薬のマーケットを一大ブームに仕立て上げた。しかしその好意にも限度がある。

プロザック時代の薬剤は、実は不正な科学、そしてアカデミックな機関の精神科医と製薬企業との癒着が生んだものであり、信用ならないものであることに国民は気付き始めたのだ。製薬企業が資金を提供して行われたプロザック時代の治験のほとんどはそのデザインに偏向があった。公表される結果は実際よりも効果があるようにスピンがけられ、好ましくない結果は公表されず、有害な副作用は矮小化もしくは隠されていた。製薬企業がアカデミックな精神科医に多額の現金を支払って薬をプロモーションさせていたこともチャールズ・グラスレイ (Charles Grassley) 議員らの調査で明らかにされている。宣伝担当者として振る舞うアカデミックな精神科医たち。連邦政府や州は、精神科薬の違法なオフラベル・マーケティングを行ったとして多くの製薬企業を訴え、その結果、製薬企業は多額の罰金まで支払っている。

そうしたことから、今では国民は製薬企業に対し、少なくとも精神科薬に関しては、警戒感を持つようになっている。"新世代のワンダードラッグ"を売ろうにも、もはやプロザック時代の薬を売るのに使った同じマーケティング手法では通用しなくなっている。次は既存薬剤よりも本当に優れた薬を開発する必要があるが、そのような科学的ビジョンを製薬企業は何も持ち合わせてはいないのだ。

枯渇したパイプライン・・・社会が精神医療を見直す機会になるか

"British Journal of Clinical Pharmacology (英臨床薬理学)"誌の最近のエディトリアルは、"消えゆく精神薬理学"と題してこの分野の悲惨な状況を詳細に取り上げている。それによると、2010年にFDAが承認した精神科薬はわずかに2種。それも広い意味で「精神あるいは脳疾患への適応」と定義されるもので、実際には他の適応で以前から使われていたもの。全くの新薬にあたるものはもう長期間市場に出ておらず、「この分野のパイプラインに明るい見通し」はまったくないという結論であった。2011年度の米国臨床精神薬理学会 (American Society for Clinical Psychopharmacology) の集会でも、精神薬理学に関するアブストラクトは13題のみで、新薬に関するものは全くなかったのだ。

これは失望的状況 (もっと効果があり、副作用がはるかに少ない新薬を製薬企業が開発できるなら、それはよいことである) ではあるが、この"消えゆく精神薬理学"の話には一つの希望の兆しも見える。今のプロザック時代の薬が次々に特許が切れ、ジェネリックの使用が増えると、有名ブランド薬を製造する製薬企業は広告予算の削減に出ることになる。そうなれば、私たちの社会を丸呑みし、流し去った薬の津波がようやく引きはじめ、社会が精神医療を考え直す一つのチャンスになりうる。

現行の精神医療モデルは、「疾患」とされる症状を薬物治療で軽減することが中心である。将来私たちの社会は、(それが薬物療法であれ心理療法であれ) 身体的、精神的、そして社会的なウェルビーイングの推進を中心とする「健全さ」をモデルにする医療に熱い目を向けるようになるだろう。ピアグループ※はすでにこうした変化を視野に、真正面から取り組んでいる。さらにまた、薬剤を使わない効果的な治療に関するエビデンスを提供する科学論文もあり、社会が精神医療の見直しに乗り出すならば、指針として拠依しうるエビデンスのある根拠も存在している。


※ 数万点に及ぶ医学論文の精査から「精神疾患を悪化させているのは疾患そのものではなく薬剤治療にある」ことを突き止めた医療ジャーナリストのウィテカー氏。その事実をつぶさに表した彼の著作 "Anatomy of an Epidemic" はニューヨークタイムズ紙やワシントンポスト紙をはじめとするメジャーメディアのレビューでも高い評価を獲得。

その内容に賛同した精神科医・心理学者・カウンセラーなどの精神医療従事者が集まり、「製薬企業などの資金に頼らない独立した研究機関」を立ち上げ、真の精神疾患治療法を模索している。

こうした研究機関の設立を「ジャーナリスト冥利に尽きる」としながらも、ウィテカー氏自身は中立性を保つためにこの機関には所属していない。詳細
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厚労省に入り込んだ利益相反アカデミック御用学者の尽力により、4大疾病に精神疾患まで加えられて『5大疾病』に仕立て上げられた精神分裂病・うつ病大国日本。

9割以上の誤診・誤処方・偽陽性率、さらに多剤大量の精神科薬・・・それでも「精神科は心の専門家。早くかかれば治りが早い」?

早期介入やアウトリーチが叫ばれ、ビジネス戦略としてのあからさまな精神医療制度の充実・拡大が今でも堂々と通用する国。

欧米よりもはるかに厳しい情報統制下にあり、すでに官僚と企業の完全な宣伝機関、はたまた世論操作のための組織の一部と成り果てたこの国のマスコミによって、国民が命を守るために知らなければならない事実が、常に歪められ隠されているという現実。

「知らないと怖い」精神医療。

その陰湿さ、残忍さ、下劣さ、卑しさは、あの原発村すら足元にも及ばない。
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