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隠された論文-抗うつ薬/うつ病 編

Antidepressants/Depression
抗うつ薬/うつ病

A. うつ病の自然経過

抗うつ薬の使用が広がる以前は、うつ病エピソードは自然に回復するものであるというのが、米国国立精神保健研究所(NIMH)の公式見解であり、二回目エピソードを経験することは高い頻度でないものとされていた。1964年、NIMHのジョナサン・コールは「うつ病というのは全体的に、治療のあるなしにかかわらず、最終的には回復する非常に予後の良い精神状態の一つである」と記している。NIMHの専門家がこのようにうつ病の自然経過を理解し、抗うつ剤が回復までの時間の短縮に役立つ可能性はあっても、長期回復率を上昇させることはないと考えていた。その理由について、NIMHのうつ病部門長であるディーン・シュイラーは、ほとんどのうつ病エピソードは「なんらの特別な介入がなくとも自然に治癒し、事実上完治するため」と1974年に述べている。

B. 慢性化の問題の登場

精神科医による抗うつ剤を使った患者治療が始まるとともに、一度はそれで良くなった患者が、抗うつ薬をやめると決まってうつ病を再発させるのを経験する精神科医が、少なくとも何人かは出てくるようになった。薬剤が短期的には役立っている可能性もあるが、薬剤よって患者を慢性的に長期化させている可能性もある。

1. 『再発性重症うつ病』‐ Van Scheyen, J. Psychiatry, Neurologia, Neurochirugia 76 (1973):93-112.

概略:オランダ人研究者、J.D. Van Scheyen は、文献レビューと独自の調査研究。「長期計画的抗うつ剤投薬は、ECT治療のあるなしにかかわらず、重症うつ病の再発に矛盾した効果を及ぼしている。言いかえれば、この治療的手段は再発率の増加と、サイクル耐久性の減少に関連する」と結論。同様に抗うつ薬がこの病気の慢性化を引き起こしているとする観察は、他の精神科医の意見にもみられるもの。

C. 抗うつ薬への暴露後に見られる高い再発率

1970年代および1980年代、抗うつ薬を断薬した患者が高い割合で「再発した」とする、NIMHやその他機関からの報告がある。

2. 『鬱病における三環系抗鬱薬による継続治療の評価』‐ Mindham, R. Psychological Medicine 3 (1973):5-17.

概略:断薬した患者の50% が6か月以内に再発しているとするイギリス人研究者による論文。

3. 『アミトリプチリンによる維持療法』‐ Stein, M. American Journal of Psychiatry 137 (1980):370-1.

概略:抗うつ薬の断薬患者のうち69%が6か月以内に再発したことを報告するペンシルバニア大学の研究者による論文。「患者の多くに臨床症状の急激な悪化があった」とする。

4. 『単極性および双極性気分障害の再発予防における薬物治療』‐ Prien, R. Archives of General Psychiatry 41 (1984):1096-1104.

概略:うつ病患者の71% が断薬後18か月以内に再発したことを報告するNIMH のロバート・プリーンによる論文。

5. 『抑鬱症状のフォローアップ調査』‐ Shea, M. Archives of General Psychiatry 49 (1992):782-87.

概略:NIMH が行った18ヶ月の種類の異なる4タイプの治療法(2タイプの心理療法、抗うつ薬、プラセボ)の比較研究。病初で抗うつ薬治療を受けた患者群の予後が最も悪かったことが研究終了時に判明。

6. 『大うつ病の抗うつ薬治療における断薬』‐ Viguera, A. Harvard Review of Psychiatry 5 (1998): 293-305.

概略:ハーバード大の研究者による再発に関する文献のメタ分析。少なくとも断薬患者の50パーセントが14ヶ月以内に再発したと結論。

E. 薬剤性慢性化の問題についての議論

1990年代から2000年代の初め、イタリアの精神科医ジョヴァンナ・ファヴァは、うつ病エビソードに苦しむ患者が抗うつ薬のせいでどれだけ慢性的な病気にされているかを、いくつもの論文の中で繰り返し述べている。

7. 『抗うつ薬や抗不安薬は気分障害の慢性化を助長するか?』‐ Fava, G. Psychotherapy and Psychosomatics 61 (1994):125-31.

概略:「向精神薬が、少なくともいくつかのケースにおいては、治療対象であるはずの病気の進行を実際は悪化させている可能性があることを議論し、その研究に取りかかるべき時期に来ている」と、ファヴァはこの論文に記す。

8. 『抗うつ薬による長期薬剤治療はうつ病を悪化させうるか』‐Fava, G. Journal of Clinical Psychiatry 64 (2003):123-33.

概略:脳は抗うつ薬による神経伝達活動の摂動に対処するために適応化補正を行うが、「薬物治療を終了することで(補正の)プロセスにおいて対抗するものがなくなることにより薬物離脱症状が現れ、また再発の脆弱性を増すことにもなる」とする。(アブストラクトのみ参照可)

9. 『抗うつ薬ならびに浪費的専門家によるうつ症状と増感の抑制』‐Fava, G. Psychotherapy and Psychosomatics 64 (1995):57-61.

概略:抗うつ薬が短期的にはベネフィットをもたらしうるが、長期的には患者のうつに対する脆弱性を増加させ、うつ病を悪化させる。

10. 『うつ病に対する抗うつ薬の潜在的感作効果』‐Fava, G. CNS Drugs 12 (1999): 247-56.

概略:抗うつ薬の使用は、うつ病をさらに悪性かつ治療に反応しない方向へと進行させる可能性がある。

11. 『向精神薬による維持療法の中断におけるリスクとその意味』‐Baldessarini, R. Psychotherapy and Psychosomatics 63 (1005):137-41.

概略:ハーバード大の精神科医、ロス・バルデサリーニによる論文。ファヴァの「疑問とそれにまつわるいくつかの事柄は・・・直視するのに心地の良いものではないが、今や心を開き、真剣な臨床的かつ研究的検討をすべき時期である」とする。

12. 『抗うつ薬の長期使用は抑うつになりうるか』‐El-Mallakh, R. Journal of Clinical Psychiatry 60 (1999):263.

概略:「長期の抗うつ薬使用は抑うつになる可能性がある. . . 抗うつ薬はニューロンのシナプス配線に変更を起こしている可能性があるが、(これは)抗うつ薬を効果のないものにするだけでなく、難治性うつ状態の常在化を引き起こす」とある。

F. うつ病の変質

抗うつ薬がうつ病を慢性化させている可能性を正面から向き合って議論することなく、精神医学は--ひとつの分野として--薬剤を使わなかった場合のうつ病がどうなるかという新たな話を展開している。患者がうつ病エピソードから自然に回復し、その後も良好な状態を続けるとした初期の疫学調査は「誤りであった」とした上で、うつ病というのは慢性病なのであり、継続的な服薬が必要であることが新しい調査から判明したとする。確かに抗うつ薬による治療を受けている患者は、維持療法として服薬を続けているにもかかわらず、長期にわたってきわめて質の低い生活を送っていることを最近の研究は示している。(それでも、不良転帰(予後が良くないこと)の原因は病気にあり、薬剤が原因ではないという)

13. 『大うつ病初回エピソードからの不完全な回復は慢性的経過をたどることへの始まりなのか』‐Judd, L. American Journal of Psychiatry 157 (2000):1501-4

概略:薬剤治療を受ける単極性うつ病患者の3分の2は、抗うつ剤による初期治療に全く反応しないか、ごく部分的にしか反応せず、長期的な経過も良くない。NIMHからの助成金で行われたこの研究では「残存閾値下抑鬱症状を呈する大うつ病エピソードの消失は、それが初回エピソードであっても、のちに重症化して再発を起こし、慢性的経過をたどることになる第一歩であるように思える」と報告。

14. 『公立病院におけるうつ病外来患者の1年時臨床転帰』‐Rush, J. Biological Psychiatry 56 (2004):46-53.

概略:ダラスの"テキサス・サウスウエスタン・メディカルセンター"の精神科医による研究。 ほとんどの臨床試験が、抗うつ薬に都合よく反応する「おいしい」患者だけを被験者にえり好みして行われていることを指摘。「えり好みのない現実世界」の患者を対象にした長期研究では、任意の期間に改善を示した患者はわずかに13%のみ。「こうした発見は、反応率や寛解率が実際には著しく低いことを示すものである」と結論。

15. 『スター D プロジェクト(The Star D Project)の結果』‐Warden, D. Current Psychiatry Reports 9 (2007):449-59.

概略:NIMHが行った4,041人の外来患者を対象とした「現実世界」の大規模臨床試験。寛解および1年間良好な状態を続けたのは20%未満に過ぎなかった。「大鬱病性障害のある人のほとんどが慢性的経過をたどり、エピソードと次のエピソードとの間に顕著な症状や障害を伴う頻度も高い」と、この論文の研究者たちは結論。

G. 薬剤治療あり 対 薬剤治療なし -うつ病の現状比較

抗うつ薬の使用が今のように広がる前は、うつ病患者は自然に回復するのが常であり、その多くに再発は見られなかった。しかし今日、大うつ病の診断を受け、抗うつ薬による投薬治療を施される患者の圧倒的大多数が再発を起こしている。では投薬治療を受けなかった場合のうつ病はどうであろうか。投薬治療を受けるよりも良い経過をたどるのだろうか。ヨーロッパ、カナダ、そして米国の研究者が、こうした疑問に答えるべく、様々な"自然主義的"研究を行ってきた。

16. 『プライマリ・ケアにおける不安障害と抑鬱障害の転帰』‐Ronalds, C. British Journal of Psychiary 171 (1997): 427-3.

概略:うつ病患者148人を対象にイギリスで行われたこの研究では、服薬していない患者群は6ヶ月で症状が62%軽減したのに対し、投薬治療群ではわずかに33%であった。

17. 『再発にかかわるうつ病治療』‐Weel-Baumgarten, E. Journal of Clinical Pharmacy and Therapeutics 25 (2000):61-6.

概略:オランダ人研究者による10年時転帰のレトロスペクティブ研究。抗うつ剤による薬剤治療を受けずに回復した患者は76%で、その後一度の再発もなかったのに対し、抗うつ剤の投与を受けた患者では50%であったことが明らかに。

18. 『抗うつ薬による治療の公衆衛生への影響』‐ Patten, S. Population Health Metrics 2 (2004):9-16

概略:9,508人のうつ病患者を対象にカナダで行われた研究。うつ状態にあった期間が、投薬を受けた患者では年平均19週間であったのに対し、薬剤を服用しない患者は11週間であった。この研究結果から、「抗うつ薬による治療は、気分障害の長期経過を悪化させる可能性がある」としたジョバンニ・ファヴァの仮説が裏付けられたと結論。

19. 『プライマリ・ケアにおける大うつ病の予後に対する治療効果と発見』‐Goldberg, D. British Journal of General Practice 48 (1998):1840-4.

概略:世界15都市のうつ病患者を対象に行われたWHOによる研究。うつ病を識別するスクリーニングのメリットを評価。1年後、向精神薬への暴露がなかった患者のほうが「全般的健康状態」がはるか良好であり、「うつ症状が以前より緩和」され、「精神疾患」とされる可能性も低くなっていたことが明らかにされている。

20. 『抗うつ薬の使用パターンとうつ病に関連した休業期間』‐Dewa, S. British Journal of Psychiatry 183 (2003):507-13.

概略:1996年から1998年の間にうつ病で連続10日間仕事を休む短期障害を経験した1,281人をカナダの研究者が特定。抗うつ薬の処方を受けなかった人は平均77日で仕事に復帰していたのに対し、服薬群は職場復帰に105日を要していた。また長期障害を経験した人は、服薬しなかった群ではわずかに9パーセントであったのに対し、抗うつ薬を服薬した群では19パーセントであった。

21. 『未治療大鬱病の特徴と重要性』‐Coryell, W. American Journal of Psychiatry 152 (1995):1124-9.

概略:うつ病で薬剤投与を受けた人と受けなかった人の転帰を6年におよぶ期間追跡調査。NIMHの資金提供によリ行われたこの研究では、うつ病の"治療"を受けた人は、受けなかった人に比べて "主たる社会的役割" の "休止" を被る可能性が3倍高く、"再起不能" に陥る可能性も7倍近く高い。NIMHの研究者は「ここで評価されている未治療の人たちは、(治療を受けた人に比べて)軽度で疾患が継続する期間も短かく、治療が施されなかったにもかかわらず長期的には社会経済的地位における有意な変化を示さなかった」と記している。

22. 『身体治療を施さない大うつ病の自然経過』‐Posternak, M. Journal of Nervous and Mental Disease 194 (2006):324-9.

概略:NIMHが行った"未治療うつ病"に関する研究。薬剤治療を受けなかった患者の23%は一ヶ月で回復し、6ヶ月では67%、そして1年以内に85%が回復。この新しい研究は、1960年代後半にNIMHがうつ病に関して行った提言が正しかったことを示すもの。大うつ病発作に襲われる人のほとんどは自然に回復する。「身体治療なく85%ものうつ病の人が1年以内に自然治癒するのであれば、いかなる介入もこれに優る結果を実際に出してみせることは極めて困難であろう」と、本論文研究者。

原文ソース:Whitaker 氏 ブログ


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