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良き悲しみ

"Good Grief"
直訳すると「良き悲しみ」

でも実は、"Oh, My God" (なんてことだ!信じられない!おやおや!)と似た表現で、やれやれ!/まいった!/あきれた!という意味。

こうした場合の"good"は、「相当な、かなりの」という意味になり、griefは、「悲しみ、悲嘆、苦悩」。

たとえば、1999年12月14日、新聞各紙の日曜版への最後の掲載をもって"Peanuts"が長い連載を迎えたときの各紙新聞の見出しには・・・・

Good Grief! Charlie Brown Says So Long
なんてこと!チャーリーブラウンさよならを言う

Good grief! Charles Schulz is retiring from Peanuts
なんてこと!チャールズシュルツ ピーナッツを引退

Good grief! "Peanuts" fans reflect on last Sunday strip
 なんてこと!“ピーナッツ”ファン最後の日曜版を振り返る



以下はそんな見出し-"Good Grief"-がついた、ニューヨークタイムズ紙の論説。

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ニューヨーク・タイムズ紙

Op-Ed Contributor
By ALLEN FRANCES
Published: August 14, 2010

http://www.nytimes.com/2010/08/15/opinion/15frances.html?_r=3&emc=tnt&tntemail1=y

NYTgooggrief.jpg


"Good Grief"
『なんてことを!』

A startling suggestion is buried in the fine print describing proposed changes for the fifth edition of the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders — perhaps better known as the D.S.M. 5, the book that will set the new boundary between mental disorder and normality. If this suggestion is adopted, many people who experience completely normal grief could be mislabeled as having a psychiatric problem.
精神障害と正常との境界を決める次期『精神疾患の分類と診断の手引 第五版』(DSM-5 としてよく知られる)の改訂案の細かな規定のなかに、なんとも衝撃的な記述があった。この提案が採用されるようなことになれば全く正常な悲しみ(= Grief)すらも精神上の問題として誤ったレッテルを貼られることにもなりかねない。

Suppose your spouse or child died two weeks ago and now you feel sad, take less interest and pleasure in things, have little appetite or energy, can’t sleep well and don’t feel like going to work. In the proposal for the D.S.M. 5, your condition would be diagnosed as a major depressive disorder.
2週間前に伴侶 や子供を失くしたひとが悲嘆にくれ、何に対する興味関心も薄れ、食欲や活力もわかず、夜は眠れず働く気力もなくなってしまったとしよう。DSM-5 の改定案ではこのような症状も大うつ病と診断されるのだ。

This would be a wholesale medicalization of normal emotion, and it would result in the overdiagnosis and overtreatment of people who would do just fine if left alone to grieve with family and friends, as people always have. It is also a safe bet that the drug companies would quickly and greedily pounce on the opportunity to mount a marketing blitz targeted to the bereaved and a campaign to “teach” physicians how to treat mourning with a magic pill.
これは正常な感情に対する薬剤治療の大安売りになってしまう。家族や友人を失って悲嘆にくれるというそっとしておくだけで良いはずの当たり前の感情を、結果として過剰診断し過剰治療を施すことにもなる。もちろん製薬企業もここぞとばかりに飛びつき、愛する人を失った遺族をターゲットにしたマーケティング・キャンペーンの集中砲火に乗り出し、医師たちには悲しみに打ちひしがれた人たちを魔法の薬でどのように治療するかの"教育"に取り掛かることはまず間違いのないところだ。

中略

What is proposed for the D.S.M. 5 is a radical expansion of the boundary for mental illness that would cause psychiatry to intrude in the realm of normal grief. Why is this such a bad idea? First, it would give mentally healthy people the ominous-sounding diagnosis of a major depressive disorder, which in turn could make it harder for them to get a job or health insurance.
DSM-5 には精神疾患とされる境界の過激な拡大が提案されおり、正常な悲しみの領域に精神医学が侵入することになる。なぜそれが大きな問題なのか。先ず第一に、精神的に健康な人間に対して大うつ病というもっともらしい不吉な診断を下すことで、下された方は就職や健康保険の取得に支障をきたす可能性が出てくる。

Then there would be the expense and the potentially harmful side effects of unnecessary medical treatment. Because almost everyone recovers from grief, given time and support, this treatment would undoubtedly have the highest placebo response rate in medical history. After recovering while taking a useless pill, people would assume it was the drug that made them better and would be reluctant to stop taking it. Consequently, many normal grievers would stay on a useless medication for the long haul, even though it would likely cause them more harm than good.
また、不必要な治療の費用や有害な副作用の可能性もあろう。時間と誰かの支えさえあればほとんどの人が回復する悲しみであり、医学の歴史から見ても、その治療にはプラセボ効果が極めて高いのである。それでも薬剤治療で回復したひとは薬のせいで良くなったと思いがちであり、服用をやめたがらない可能性がある。その結果、正常な悲しみを抱いた多くの人が無駄な薬剤治療を長期にわたって受けることで益となるよりもむしろ害となる。

The bereaved would also lose the benefits that accrue from letting grief take its natural course. What might these be? No one can say exactly. But grieving is an unavoidable part of life — the necessary price we all pay for having the ability to love other people. Our lives consist of a series of attachments and inevitable losses, and evolution has given us the emotional tools to handle both.
愛する人を失った挙句に、本来あるべき悲しみを自然のままに感じることでもたらされるはずの利益すら奪ってしまうのだ。それがどのような利益であるかを正確に説明できる人はいないだろうが、悲しさを感じることは人生の一部なのである。それは人を愛する能力の対価であり、誰もがその支払いを負っている。われわれの人生は愛情と避けることのできない死の連続であり、その両方に対処できるこころの技術が、進化の過程で身についている。

In this we are not unique. Chimpanzees, elephants and other mammals have their own ways of mourning. Humans have developed complicated and culturally determined grieving rituals that no doubt date from at least as far back as the Neanderthal burial pits that were consecrated tens of thousands of years ago. It is essential, not unhealthy, for us to grieve when confronted by the death of someone we love.
それは人間だけではない。チンパンジーや象、その他の動物にも哀悼を表わすそれなりのやり方というのがある。人間には複雑で文化的に決定づけられた悲しみの儀式があり、それは死者を神聖に葬った何万年も前のネアンデルタール人の墓穴にもすでに見られるのである。愛する人の死に直面して嘆き悲しむのは本質的なことであり、それは決して不健康なことではない。

以下略

------------

記事にもあるように、さらなる精神疾患患者の増加を目指す精神医学会は、また新たな精神疾患・障害の追加に加え、診断基準の引き下げや、Psychosis Risk Syndrome(精神病リスク症候群)なる『発病前の症状=前駆期』をも精神障害にしてしまうDSM-5。
また、成人と青少年との診断が区別され、これはオーストラリアのマクゴーリらの動きとも符合する。

こうした案に異を唱えた一人が、この論説の筆者であるデューク大学の元精神学部長ALLEN FRANCES氏であり、現行の『精神疾患の分類と診断の手引』DSM-4 の作成にあたったタスクフォースの議長を務めた人物。

DSM-5 の発行が2013年に延期になったのはこの「内紛」がもとになっている。

では、Psychosis Risk Syndrome(精神病リスク症候群)とはどういうものか。
実際にどのように運用されるのか。

厚生労働科学研究助成金による"こころの健康科学研究事業 『思春期精神病理の疫学と精神疾患の早期介入方策に関する研究』(代表者:岡崎祐士 東京都立松沢病院)" として三重県津市の豊里中学校で行われた研究がある。

"スクール・ソーシャルワーカー"として学校に派遣された精神保健福祉士が職員会議に参加し、スクールカウンセラーや教師の話から「問題のありそうな生徒」を保健室に呼び出すというもの。

そうして呼び出された生徒の一人に、両親がブラジルからの移民という子供がいた。

スクール・ソーシャルワーカー:そこにいないはずの人の声が聞こえたりする?

生徒:うん、下の階からお母さんが呼んだ気がすることがある。


学校のカウンセラーから勧められて精神科を受診中の弟がいたことも「根拠の一つ」となって、スクール・ソーシャルワーカーは「この子は統合失調症の前駆期の可能性あり」との報告をし、その後に親が呼び出され、学校まで呼ばれた精神科医の診断を受けていた。

このような精神疾患の早期介入・予防を唱えるマクゴーリらの精神科医が必ず言うのは「幻聴に苦しむ若者を救いたい」である。

しかしこのブラジル人の子供のように、実際には「幻聴が聞こえて苦しい。助けてほしい。」と保健室で訴えたのでもなければ、親から相談があったわけでもない。

あくまでワーカーや教師による「患者の掘り起こし」が行われていたのである。

精神病未治療期間(DUP:duration of untreated psychosis)の短縮が良好な予後に繋がるとし、発病もなく援助の訴えもない子供を掘り起こして「予防的に抗精神病薬を投与する」ことの危険性は、このALLEN FRANCES 氏も指摘している。

「統合失調症に対する医療介入や薬物治療は、未治療であった場合に比べて予後が悪い」ことを示唆するWHOという公の機関による研究すらありながら、製薬企業から多額の資金を得て研究される「早期介入」に関するマクゴーリらの研究データや精神病未治療期間の短縮に、いかほどの価値があるのか。

ようやく日本でも向精神薬の過剰処方・摂取が社会問題になってはいるが、今年2月にDSM-5の改定案が発表されて以来、精神科の診断そのものに対する疑問がメインストリーム・メディアを通じて向けられているのが世界的な傾向であり、『専門家による自殺対策・メンタルヘルス』を叫びながら、診断基準となるDSM-5をマトモに検証しないのは、先進国の中では唯一日本だけではないか。

今年(2010年)の12月11日・12月12日には日本のマクゴーリ支持団体である日本精神保健・予防学会の学術集会が『早期介入~多様な視点からのアプローチ』をテーマに開かれる。

シンポジウム(予定)として

「早期介入の臨床実践における諸問題」
「未治療期間はどうして長くなるのか:DUPの短縮へ向けて」
「早期精神病への心理社会的アプローチ」
「早期精神病の病態生理:発症、進行のメカニズムと治療」

などが挙げられているが、参加者は少なくとも「統合失調症に対する医療介入や薬物治療は、未治療であった場合に比べて予後が悪い」ことを示唆するWHOの論文を一読することが強く求められよう。

The International Pilot Study of Schizophrenia. Leff, J. Psychological Medicine 22 (1992):131-145.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/who1.pdf

Schizophrenia: Manifestations, Incidence and Course in Different Cultures. Jablensky, A. Psychological Medicine, supplement 20 (1992):1-95.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/who2.pdf

自己の利益追求のために子供や若者の人生を深刻な副作用のある薬で台無しにする、ときには死にすら至らしめる。

"Good Grief" で済まされる問題では決してない。


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