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コクラン・ライブラリーに見る「精神疾患 早期介入・支援」-その現状と真実

"Early intervention for psychosis"

◎ オランザピンにベネフィットはない
◎ 認知行動療法 (CBT) にベネフィットはない
◎ リスペドリン + CBT + 専門チーム(早期介入多職種連携チーム/アウトリーチ)にベネフィットはない (12ヶ月)

◎ 自殺傾向のための認知行動療法に効果はない
◎ 家族療法 + 専門チームの介入は再発に影響しない
◎ 専門チームの介入は平均入院日数に影響しない  

  Early intervention for psychosis


"Early intervention for psychosis"
(精神疾患の早期介入)

Max Marshall1,*, John Rathbone2Editorial Group: Cochrane Schizophrenia Group
Published Online: 15 JUN 2011
Assessed as up-to-date: 3 JUN 2009
DOI: 10.1002/14651858.CD004718.pub3

Abstract

背景
早期介入の支持者は、統合失調症の初期段階もしくは前駆症状を有する人々に対し、さらに集中的な治療努力を施すことでアウトカムを改善しうるとしてきた。統合失調症の早期介入には、標準的ケアとは明確に異なる二つの要素がある。早期発見とphase-specific treatmentである。(phase-specific treatmentとは、統合失調症の初期段階にある人のために特別に開発・改良された治療法のこと。)

早期発見とphase-specific treatmentは、共に標準的ケアを補うものとして提示されるか、あるいは早期介入専門チームを通じて提供される。アメリカ、ヨーロッパ、およびオーストラリアにおいては、定着したものである。


目的
次の効果を評価する (a) 早期発見  (b) phase-specific treatments  (c) 前駆症状のある人、あるいは初回エピソード精神病治療における早期介入専門チーム


検索方法
われわれはコクラン統合失調症グループTrials Register (March 2009) を検索し、特定したすべての臨床試験とレビューを精査の上、この分野における専門家にコンタクトを取った。


選択基準
前駆症状を示す人の精神疾患への進行の予防、あるいは初回エピソードがある人のアウトカムの改善を目的にデザインされた無作為化比較臨床試験 (RCTs) をすべて含めた。早期発見、phase-specific treatment、早期介入専門チームによる単独および併用ケアによる介入を適格とした。本調査ではクラスター無作為化試験は容認したが、非無作為化試験は除外した。


データ収集と分析
臨床試験を厳選の上その質を評価し、データ抽出を行った。二分データについては、95%信頼区間 (CI)で相対リスク (RR)を推定した。
可能な場合は、NNT/H (number needed to treat/harm statistic) を算出し、ITT (intention-to-treat) 解析を用いた。


主な結果
研究は様々であるが、そのほとんどは先駆的研究者によって行なわれた小規模なものであり、多くの方法論的制限があった (18 RCTs, total n=1808)。概ねメタ分析は不適当なものであった。前駆症状のある人の精神疾患予防を検証した6つの研究では、オランザピンにはほとんどベネフィットが無いように思われ (n=60, 1 RCT, RR 精神疾患への移行 0.58 CI 0.3 ~ 1.2)、また認知行動療法 (CBT) にも同じくベネフィットは無いように思われた (n=60, 1 RCT, RR 精神疾患への移行 0.50 CI 0.2 ~ 1.7)。リスペドリン+CBT+専門チームは、6ヵ月では専門チーム単独よりもベネフィットをもたらしていたが (n=59, 1 RCT, RR 精神疾患への移行 0.27 CI 0.1 ~ 0.9, NNT 4 CI 2 ~ 20)、12ヵ月の時点ではそれは見られなかった。オメガ3脂肪酸 (EPA) はプラセボよりも利点を得られた (n=76, 1 RCT, RR 精神疾患への移行 0.13 CI 0.02 ~ 1.0, NNT 6 CI 5 ~ 96)。しかしこの知見を再現するものについて、われわれは全く知らない。

その他の臨床試験は、初回エピソード精神疾患における転帰の改善を目的としたものであった。自殺傾向のためのphase-specificなCBTにはほとんど効果が無いように思えたが、その単回調査は小規模なものであった (n=56, 1 RCT, RR 自殺 0.81 CI 0.05 ~ 12.26) 。オランダで行われた家族療法+専門チームでは明らかな再発への影響はなかったが (n=76, RR 1.05 CI 0.4 ~ 3.0) 、中国で行われた専門チームのない家族療法のみで影響のあった可能性がある (n=83, 1 RCT, RR 入院 0.28 CI 0.1 to 0.6, NNT 3 CI 2 to 6) 。最も大規模で質の高い研究は、専門チームと標準治療の比較であった。研究からの早期離脱の低下 (n=547, 1 RCT, RR 0.59 CI 0.4 ~ 0.8, NNT 9 CI 6 ~ 18)、および治療コンプライアンスの改善が認められた (n=507, RR 治療中止 0.20 CI 0.1 ~ 0.4, NNT 9 CI 8 ~12)。1年目での平均入院日数に有意差はなく (n=507, WMD, -1.39 CI -2.8 ~ 0.1) 、5年目までに"入院無し"のデータにも差はなかった (n=547, RR 1.05 CI 0.90 ~ 1.2)。1年での"非自立生活"者の数に有意差はなかった (n=507, RR 0.55 CI 0.3 ~1.2)。5年目では"非自立生活"者が治療参加者のほうでは有意に減少していた (n=547, RR 0.42 CI 0.21 ~ 0.8, NNT 19 CI 14 ~ 62)。phase-specific treatment (CBT) とビフレンディングを比較した場合、1年間入院のなかった参加者の数に有意差は出なかった (n=62, 1 RCT, RR 1.08 CI 0.59 to 1.99)。

phase-specific treatment の 短期介入と同様 (n=106, 1 RCT, RR 入院 0.86 CI 0.4 ~ 1.7)、phase-specific treatment の E-EPA オイルにもベネフィットのないことが示唆された (n=80, 1 RCT, RR 無反応 0.90 CI 0.6 ~ 1.4) 。Phase-specific の ACE にはベネフィットを見なかったが、就労介入を受けた参加者は雇用されやすい傾向にあった。Phase-specific の 大麻や精神療法はベネフィットを示さず (n=47, RR 大麻使用 1.30 CI 0.8 ~ 2.2)、危機アセスメントが入院を減少させることもなかった (n=98, RR 0.85 CI 0.6 ~ 1.3)。早期行動介入が体重に影響することはなかった。


執筆者の結論
精神疾患の前駆状態にある人を何らかの介入によって支援しうることを示唆するエビデンスができつつあるとはいえ、未だ確定的なものではない。専門の早期介入サービスを有効とする主張もあるが、さらなる臨床試験が望まれるものであり、早期介入サービスによって得られるものの継続性には疑問がある。就労や家族療法を中心としたphase-specific な支援を有効とする主張もあるが、やはりこれについてもより大規模で長期試験での再現性が必要である。


平易文による要約

精神疾患の早期介入
統合失調症の多くは若年成人期に発症し、生涯継続する障害につながる可能性がある。精神疾患発病の前に、前駆症状として知られる非精神病性症状の一時期がある。本格的な統合失調症の症状としては、幻覚、妄想、思考の混乱、および感情的引きこもりなどがある。適切な治療を受けることが遅れると回復の機会やその範囲が狭まるとするエビデンスがいくらかは存在する。

大まかに言えば、初期介入には2つの目的がある。一つは前駆症状のある人の統合失調症の発病を予防すること。もう一つは統合失調症の初期段階にある人に疾患の重症化を軽減することを目的とした有効な治療を提供することである。現在、アメリカ、ヨーローッパ、オーストラリアで早期介入は広まっている。

われわれは精神疾患の前駆症状あるいは初期症状のある人に対して早期介入が行われたすべての臨床試験のレビューを試みた。本レビューでは18の研究を特定したが、そのほとんどは非力なもので、今のところは十分なデータがないため何らの確定的結論も導くことはできない。さらなる研究は望まれる。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
言うまでもなく、コクランに言う「望まれるさらに大規模な臨床試験」とは、製薬企業と利益相反のある施設や研究者の行うものではない。
 



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テーマ : 統合失調症
ジャンル : 心と身体

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