スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

オーストラリア マクゴーリの「早期介入」-最悪の事態を招く処方箋

prescription for disaster

ON LINE opinion
http://www.onlineopinion.com.au/view.asp?article=10267

"McGorry's 'early intervention' in mental health: a prescription for disaster"

『マクゴーリの「早期介入」-最悪の事態を招く処方箋』

By David Webb and Melissa Raven - posted Tuesday, 6 April 2010

"オーストラリアン・オブ・ザ・イヤー"に指名され、マスメディアでも注目される存在となったパトリック・マクゴーリ教授 (Patrick McGorry) が呼び掛けるメンタルヘルスの大改革。連邦政府を含め、多くの人が彼の要求に耳を傾けるのも当然ではある。


最近、草の根運動擁護団体 『GetUp』 も、マクゴーリの呼びかけに応じて促進キャンペーンに乗り出した。明らかに価値のあるキャンペーンのようには見えるし、メンタルヘルの分野に抜本的改革が必要なのは事実である。が、マクゴーリの呼びかけを支持する 『GetUp』やその他の人たちには、どうやらマクゴーリが呼びかけているものの正体が見えていないようだ。


マクゴーリとは、メンタルヘルスの「早期介入」の熱心な推進派としてオーストラリアのみならず国際的にも知られる人物である。そんな彼に異を唱えようなどとする人間が誰もいないのもうなづけよう。しかも彼が使うのは、「手遅れになる前に」という巧妙なメタファー。しかし彼の唱える早期介入の本当の意味を考えれば、異を唱えないわけにはいかないのである。


例えば統合失調症など、将来精神疾患を発病するリスクのある人は、診断を決定づける十分な症状が出る前に特定することが可能であるというのが、マクゴーリの主張である。独特な思い込み、自発性の喪失、社会的ひきこもりなどがその初期症状とされるもので、それをマクゴーリは精神疾患の「前駆期」と呼ぶ。つまりマクゴーリの求める早期介入とは、抗精神病薬の投与を当然であるとする医療介入のことなのである。


こうした早期介入の在り方は、精神科医療関係者の間ですら激しい論争の的となっている。例えば、2006年のタイム・マガジンの記事では、米国の著名な早期介入研究者であるトーマス・マグラシャン (Thomas McGlashan) が、予防的な薬剤治療を正当化するほどのエビデンスは十分ではないと戒めている。マクゴーリ自身も、どの若者が将来精神疾患を発病するかを確実に言い当てることは不可能であることを認めているのだ。それでも、ジャーナリストのダニエル・ウイリアムス (Daniel Williams) が言うには、「静かで落ち着いた語り口のマクゴーリは、抗精神病薬を実験的に使うことが、あたかも唯一の信頼できる治療の方向性であると人に思わせる術を身につけている」のである。


予防的な薬剤による介入には数多くの危険性が伴うが、特に抗精神病薬 (化学療法で用いられる薬剤に次いで、極めて毒性の強い化学物質であるとも言われている) には、糖尿病、メタボリック・シンドローム、心血管系の突然死亡などを含む重い副作用がある。それでもマクゴーリはこうしたリスクは「あくまで理論上のもの」として意に介さない。だが、こうした薬剤で予防できることを示す科学的なエビデンスもほとんど存在しないのだ。


マクゴーリの提唱する改革のもとでは、"偽陽性"と誤診される多くの人 (つまり多くのオーストラリアの若者)が、早期介入の大きな網に引っ掛かり、有効性すら証明されていない薬による深刻なリスクに曝されてしまうことになる。最近の"Psychiatric Times"誌は、DSM-V (米国精神医学会発行の『精神疾患の分類と診断の手引書』次版、精神医学診断の「聖書」) 向けに現在提案されている改定における早期介入の議論を取り上げている。予防的治療を「公衆衛生に対する医原性の災害をもたらす処方」と表現するこの記事は、デューク大学精神科名誉教授であるアレン・フランセス (Allen Frances)が書いたもので、彼は現行DSM-IVの開発・編集を担当したタスクフォースの委員長を務めた人物。その教授が、高い率で偽陽性が発生すること、抗精神病薬の効果を示すエビデンスが欠けていること、危険な副作用を力説しているのである。


知ればマクゴーリの意図に更なる疑惑を抱くのは、彼の組織 (Orygen Youth Health) の資金が、実質的には製薬業界から出ていることであり、加えて米スタンリー基金 (US Stanley Foundation) からも出ており、これは精神障害というレッテルを張られた人に対する監禁や強制治療といった非常に強引なアプローチで悪名高い基金なのである。こうした資金拠出にまつわる詳細は、Orygen のホームページ(Major Grants および Other Funding) にもある程度の記載がある。さらにマクゴーリは、抗精神病薬メーカーである多くの製薬企業から個人的に資金を受けながら、利害対立の報告をしていないことが多く、特に抗精神病薬の使用を繰り返し擁護する早期介入についての増刊記事を含め、最近のMedical Journal of Australia 誌での彼の記事の多くは報告されていない。アメリカでは、抗精神病薬を製造するメーカー数社が、すでに違法販売促進をしたとして告発されてているのだ。http://psychrights.org/articles/091030NYTimesAZSeroquelFCASettlement.htm


マクゴーリのキャンペーンは、メンタルヘルス (「心理社会的な健康」とするほうがより適切) のメディカライゼーションをさらに推し進めるための一部である。彼の主な賛同者は、ジェフ・ケネットとビヨンドブルー (Jeff Kennett and beyondblue)、脳と心の研究所 (the Brain & Mind Research Institute =BMRI) 、SANE オーストラリア (SANE Australia)、そして 豪メンタルヘルス委員会 (Mental Health Council of Australia=MHCA) である。


そのBMRI、 SANE、MHCA、すべてが製薬企業から実質的な資金の提供を受けている。こうした過剰なメディカライゼーションは、すでにメンタルヘルスの領域を遥かに超えた「病気商売=disease mongering」と呼ばれる域に達しておりそれを熱心に促進しているのが製薬企業である。「病気商売」は今や世界中で議論される大きな社会問題であるにもかかわらず、このオーストラリアでは今のところそうした議論がほとんどなく (日本の状況はさらにひどい) 、こうした問題についても医学の専門家が国民の議論に権勢を振るっているのが現状なのである。


人や組織がメンタルヘルス制度の抜本的改革を支持し、それを本当に願うのであれば、マクゴーリやその同類らの宣伝活動による都合の良い解釈ではなく、自分たち自身でこの議論を進めるべきである。


筆者紹介:

デイビッド・ウエブ: 自殺を図ったことのある人の自殺に関する世界初となる研究で2006年に博士号を取得。一般的に考えられているような、似非科学(精神医学)が言うところのなんらかの「精神疾患」に自殺の原因があるのではなく、自殺を自我の一つの危機であるととらえたほうが最も理解しやすいとするのが彼の主張。世界精神医療ユーザー・サバイバー・ネットワーク (the World Network of Users and Survivors of Psychiatry = WNUSP) の委員会メンバーであり、現在、オーストラリア連邦障害組織 (Australia Federation of Disability Organisations) 研究政策室の非常勤研究員。人権をメンタルヘルスの中心問題に据え、メンタルヘルス産業界が障害の社会モデルに移行して初めて精神医療ユーザーやサバイバーに正義がもたらせれるとし、それが世界精神医療ユーザー・サバイバー・ネットワークの基本であるとする。


メリッサ・レイブン: 精神科疫学者であり政策アナリスト。フリンダース大学では講師として公衆衛生を教え、ヘルシー・スケプティズムのメンバーでもある。

ーーーー

日本では、厚生労働科学研究助成金 こころの健康科学研究事業 『思春期精神病理の疫学と精神疾患の早期介入方策に関する研究』として、このマクゴーリを支持する東京都立松沢病院院長、岡崎祐士氏や東京都精神医学総合研究所の西田淳志氏らが中心となって、スクールソーシャルワーカーとして派遣された精神保健福祉士が三重県津市の豊里中学校の生徒を対象に薬物投与を中心とする「早期介入」に取り組んでいたのが2008年前後。
http://www.pref.mie.jp/TOPICS/2009070150.htm

中学には三重大学の学生もボランティアで派遣され、「メンタルヘルスに問題あり」とされる生徒を補助するなど、表面上は「至れり尽くせり」を装い、当時の学校通信には「厚労省研究のモデル校に選ばれた」という校長の喜びの声まで掲載。この記事にある早期介入の危険性をメールで訴えるも、中学校のソーシャルワーカーから返ってきたのは「将来苦しむかもしれない子供を救うための素晴らしい研究を邪魔するな」「営業妨害である」「名誉棄損である」などなど・・・。そういう教育者や医療従事者もまた、大きなビジネス医療の網にとらわれた被害者ではある。

一方この頃、米国ではすでに統合失調症治療薬「ジプレキサ」の違法販売にまつわる裁判、ADHD診断を一気に拡大させることになったハーバード大学のビーダマン博士と製薬企業の癒着や治験データの改ざんが調査され、さらには抗うつ薬SSRIの副作用による自殺などの裁判も起こっていた。そこで開示された資料からは、市場を創り出すために製薬企業が「専門家」なる精神科医をリクルートし、患者家族会の支援、ブランドを高めるための「○○賞」の授与、ゴーストライティングによる書籍の出版及びその買取による印税支払、支援に見せかけたホームページの作成によるイメージアップ・・・・様々な営業戦略が見て取れる。
http://www.furiousseasons.com/zyprexadocs.html (裁判資料)

2006年にはイギリスのBBC放送がパキシル治験にまつわる不正を報道。
http://www.pogo.org/pogo-files/letters/public-health/ph-iis-20101129.html


日本でSSRIの問題をNHKがメジャーメディアとしては初めて報道したのは2009年。そして今年になってようやく「向精神薬の過剰処方」を国が認めざるをえない形となった。

実はこのタイムラグにこそ明らかな「意図」がある。

今なおこうした「早期介入」は、世間の目を欺くかのように立派な化粧が施され、「自殺予防」「学校との連携」「他職種連携」「地域連携」「アウトリーチ」といった美名のもとに、日々広がりを見せている。

おそらくSSRI同様、この「早期介入」が十分に行き渡った時点で、またNHKなどが「十代に広がる抗精神病薬の乱用-見えてきた安易な受診と診断」などという番組を放送するのだろうか。

『時すでにあまりに遅し』である。

このマクゴーリを支持する団体の集会(第14回日本精神保健・予防学会学術集会)が間もなく開催される。
現代に蘇った悪魔が登場する。
http://square.umin.ac.jp/JSPD/Contents/Info/2010guidannce.pdf


オーストラリア「メンタルヘルス法案」(豪政府資料 一部抜粋訳)

● たとえ18歳未満であっても、「十分に大人である」と精神科医が判断すれば、親の承諾なく子供の同意だけで「不妊手術」を施すことができる。「不妊手術」を施した事後報告だけが義務。それも親ではなく主任精神科医に届けられるのみ。 [Pages: 135 & 136]

● 12歳の子供であっても、「十分に大人である」と精神科医が判断すれば、親の承諾なくとも子供の同意だけで電気ショックや精神外科手術を施すことができる。[Pages: 108, 109, 110, 197, 198, 199, 213]


追記
DSM-5 の公式ホームページ (DSM-5 Development) が5月1日に更新され、次のように発表

"Based on concerns about the reliability of the proposed Attenuated Psychosis Syndrome and Mixed Anxiety Depressive Disorder in the field trials, these two conditions are being recommended for further study in Section III, an area of DSM-5 for conditions that require further research before consideration as formal disorders."

「提案されているAttenuated Psychosis Syndrome、及び Mixed Anxiety Depressive Disorder の実地試験での信頼性に関する懸念に基づき、これら二つの疾患については、正式な障害として考慮するにはさらなる研究が必要な場合に分類されるSection IIIのカテゴリーに入れることを推奨。」

この発表を受け、DSM-IV タスクフォース委員長の Allen Frances 氏は"素晴らしいニュースである"とし、次のコメントをブログで発表。

"The world is a safer place now that 'Psychosis Risk' will not be in DSM 5. Its rejection saves our kids from the risk of unnecessary exposure to antipsychotic drugs (with their side effects of obesity, diabetes, cardiovascular problems, and shortened life expectancy). 'Psychosis Risk' was the single worst DSM 5 proposal—we should all be grateful that DSM 5 has finally come to its senses in dropping it.

「'Psychosis Risk' (サイコーシスリスク/アーリーサイコーシス) が DSM 5 に入らなくなったことで、ようやく世界は少し安心のできる場所となった。これが削除されたことで、子供たちは抗精神病薬 (副作用:肥満、糖尿病、心血管障害、寿命の短縮)に不必要に曝されることから救われることになる。'Psychosis Risk' は DSM 5 の提案の中でも最悪のものであった。ついにDSM 5 が正気を取り戻し、これを取り下げたことに対し、私たちは全員で喜びたい。」




検索用
東京都立松沢病院;東京大学大学;巣立ち会;全国精神障害者団体連合会;KHJ西東京親の会;西多摩虹の会;さいたま市精神障がい者家族会もくせい家族会;全日本断酒連盟;ダルク女性ハウス;全国精神保健福祉会連合会;地域生活支援センター ピア;東京都精神障害者団体連合会;東京兄弟姉妹の会;東京都杉並家族会;全国精神障害者団体連合会;社団法人やどかりの里;やどかりの里 浜砂会;東京都精神障害者家族会連合会;調布かささぎ会;立川麦の会;東京都練馬家族会;全日本断酒連盟;東京都精神障害者団体連合会;東京都精神障害者団体連合会;同志社大学大学院;社団法人やどかりの里;ユースメンタルサポートセンターMIE;YMSC;三重県;津市;京都教育大学;臨床心理;精神保健;社会福祉法人カメリア;田崎耕太郎;岡崎祐士;豊里中学校;ユースアシストクリニック;ユース・ユニット;薬剤師;作業療法士;検査技師;栄養士;早期サポートチーム;精神病様症状;PLEs;児童思春期;精神病未治療期間;濱 幸伸;池山総一;精神疾患の予防;津市城山1丁目;三重県立こころの医療センター;日本精神保健;予防学会;向精神薬;認知療法;薬物療法;メンタルヘルス;西田淳志;松本和紀;中村友喜;スクールカウンセラー;松田真理子;香山明美;多職種;早期支援;香山明美;濱家由美子;羽田舞子;東邦大学;中根秀之;統合失調症;富山大学;西山志満子;精神病前駆状態;越川裕樹;小林啓之;心理教育;藤井千代;大室則幸;森田桂子;行山武志;桂 雅宏;治療介入指針;At-Risk Mental State;市川宏伸;東京都立梅ヶ丘病院;西園マーハ;西園マーハ;丹野有紀;早期支援事業;白井有美;針間博彦;こころ・あんしんLight;社会復帰;トラウマ;ARMS;早期精神病;治療的介入;ロールシャッハテスト;自我障害尺度;多職種;前川早苗;榊原規久;栗田弘二;岩佐貴史;原田雅典;東京都精神医学総合研究所;三重大学;久住一郎;加藤正樹;村井俊哉;こころの健康;MindMatters;精神保健;精神疾患の一次予防 精神医学レビュー ;精神疾患の早期発見・早期治療;精神疾患早期介入の実際;早期精神治療サービスガイドライン ;統合失調症の早期発見と認知療法;発症リスクの高い状態への治療的アプローチ;東京都精神医学総合研究所;気分障害;飛鳥井望;糸川昌成;秋山治彦;池田和隆;精神疾患;ソーシャルワーカー;水野雅文;鈴木道雄;岩田仲生;東邦大学医学部;富山大学大;神経精神医学;精神神経医学;藤田保健衛生大学;早期精神病;Emil Kraepelin;クレペリン;ブロイラー;Eugen Bleuler;非定型抗精神;Psychosis;初回エピソード;脳構造画像;脳灰白質;精神病発症リスク;上側頭回;ヒトゲノム;陽性症状発現:Duration of Untreated Psychosis:精神病未治療期間:Critical Period:治療臨界期:精神保健福祉センター:精神科医療サービス:教育委員会:ユースクリニック:精神病発生危険状態:ARMS外来:保健予防学会:早期治療:そらみみがきこえたひ:大人のADHD:セルフチェック:注意欠陥:多動性障害:伏見区:新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム:堀澄清:野村義子:アウトリーチ:訪問支援:河崎建人:クレペリン:Emil Kraepelin:ブロイラー:Eugen Bleuler:早期精神病:Early Psychosis:SNP:CNVs:精神病未治療期間:DUP;Critical Period;治療臨界期;松本俊彦;自殺予防総合対策;中山あゆみ;;ソーシャルワーカー;東京大学病院精神神経科こころのリスク外来;東京ユースクラブ;東邦大学医療センター大森病院メンタルヘルスセンター;イル ボスコ;東北大学附属病院SAFEメンタル・ヘルス・ユースセンター;富山県心の相談センター 富山大学附属病院;ハイリスク群;duration of untreated psychosis;DUP;臨界期;clitical period;自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム;大村共立病;宮田雄吾;Patrick D. McGorry;石倉習子;瀧本里香;CBT;日本精神保健・予防学会学;鈴木道雄;MindFirst;マインドファースト;島津昌代
スポンサーサイト
プロフィール

Scottw

Author:Scottw
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。