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若者を対象とした早期介入 (支援) にまつわるエビデンスは誇張 - メルボルン聖ビンセント病院精神科部長

McGorry accused of conflict of interest

The Sydney Morning Herald

"McGorry accused of conflict of interest"
Jill Stark
August 7, 2011.
http://www.smh.com.au/national/mcgorry-accused-of-conflict-of-interest-20110806-1igxd.html#ixzz1UGsdyj2v

『マクゴーリに利益相反の非難』
ザ・シドニー・モーニング・ヘラルド紙

連邦政府のメンタルヘルス改革に対して精神科医、心理学者、患者グループらのあいだに反感が強まり、元 "オーストラリア・オブ・ザ・イヤー"にも選ばれた政府の医療技術顧問、パトリック・マクゴーリ (Patrick McGorry) の利益相反問題に非難の声が上がっている。

複数のメンタルヘルスの専門家がサンデー・エイジ紙 (The Sunday Age) に語ったところによれば、青少年や若年層成人に特化した早期介入は、『マクゴーリーのロビー活動マシーン』によって甚だしく過大に評価されており、精神衛生に関する政府の専門家作業部会における地位を利用して、自らが設立したプログラムへの資金拠出を進言したとしている。

メルボルン聖ビンセント病院のディビッド・キャッスル精神科部長は、"headspace" (オーストラリア若者心の健康財団) や "early psychosis prevention and intervention centres" (早期精神病予防介入センター) を立ち上げたマクゴーリ教授と、 "headspace" の役員であるイアン・ヒッキー教授 (Ian Hickie) らが言う精神病のリスクがある若者を対象とした早期介入 (支援) にまつわるエビデンスは、誇張されたものであると主張。

"Headspace" は、いじめやストレス、また人との関係に困難があるなど、軽度から中度の問題を抱えた12歳~25歳の若者を対象とするサービスであり、GPによる紹介が親に求められることはない。また"early psychosis prevention and intervention centres"は、15歳から24歳までを対象に、精神医学的、心理学的、および社会的支援が総合的に提供されている。

5月の連邦予算では、精神衛生に割り当てられ22億ドルのうち、その四分の一がこの2つの制度で占められたが、マクゴーリ教授とヒッキー教授は、ともに首相に提言を行う政府のメンタルヘルス専門家作業部会のメンバーである。

「きわめて憂慮すべきは、彼ら専門家であるロビイストたちの言うことに政府が耳を傾けていることである。 彼らが推奨しているプログラムは、自分たちが個人的にも大規模な投資をしているプログラムであり、またそこに示されているエビデンスには明らかな誇張がある。これは甚大な利益相反である」と、キャッスル教授。

この騒ぎの原因となったのは、精神科診断の主要なソースとされる「精神疾患の分類と診断の手引 第四版 (DSM Ⅳ)」作成の委員会議長を務めたアメリカの精神科医、アレン・フランセス氏が、この早期介入に対するこのオーストラリアの取り組みを「検証なき大規模公衆衛生実験である」として、長期のベネフィットに関するエビデンスもほとんど存在しないと批判したことである。

そこには限られた予算配分をめぐっての陣取り合戦という側面もある。また従来のGP (一般開業医) や精神科医によるケアでは、小児と成人の狭間にいる子供や若者の治療が遅れるという指摘もある。

4歳から17歳の子供のおよそ14パーセントがメンタルヘルスの問題を抱えているとされ、その多くはうつ病や不安障害で、精神疾患も2パーセント。

メルボルン国立小児病院 (Melbourne's Royal Children's Hospital) 青少年健康調査科のジョージ・パットン (George Patton) 教授は、マクゴーリ教授のこうした取り組みを賞賛する一方で、早期介入に対するマクゴーリ教授の信念は全員に共有されるものではないと言う。「精神医学界の上位コミュニティーの間では、精神医学がエビデンスを置き去りにして突っ走っていることへの懸念が、まさにうねりのように高まっている」と彼は言う。

しかしマクゴーリ教授は、こうした批判を少数派であるとはねつけ、「不満を抱く者の破壊的かつ無責任な主張」であり、「自分たちの縄張りと弱体化する既存のメンタルヘルス・モデルを守るために、科学的エビデンスを悪用している」と批判。

「初期精神病や "headspace" にまつわる改革は、患者やその家族に利益をもたらすものであり、過去20年の確かなエビデンスと、世界中の何百ものコミュニティーで成果を上げている」と、マクゴーリ教授は言う。

また、ヒッキー教授らとともに代表を務めている組織は非営利団体なのであって利益相反はないとし、あらゆるサービスの資金増額が理想であるが、特に若者に対する支援は急を要すると言う。

しかし、メルボルン国立小児病院精神衛生部、ピーター・バールソン (Peter Birleson) 元部長は、このマクゴーリの意見に反対する。「マクゴーリの仕掛けた客寄せマシーンは、オーストラリアの状況を歪めたものにしている。イギリスには、こうした子供や若者に対するオーストラリアの精神医療の在り方を、まったくの狂気の沙汰であると見る人もいる。マクゴーリは若者や若年層成人のためにという大義名分を掲げてはいるが、実際には精神疾患の50パーセントは14歳以前に発現するものであり、従って児童に対するサービスの強化にこそ大きく舵を切るべきである」とバールソン医師。

ヒッキ―教授は、若者以外の分野で自分もマクゴーリ教授もこれから支援を続けており、政府の作業部会における影響力も他の委員らと同程度であると言う。

「卑劣な攻撃をする人がいるのは嘆かわしいことだが、これは精神医療分野の特徴でもある。これまでほとんど投資をしてこなかったために、結局はパンくずを奪い合うことになっている」と、ヒッキ―教授。

ロイヤル・オーストラリアン・アンド・ニュージーランド・カレッジ・オブ・サイカイアトリスト (Royal Australian and New Zealand College of Psychiatrists) の前学長であるルイス・ニューマン氏は、早期介入に小さく焦点を当てすぎているがために、若者が過剰に薬物治療を受け、早まった診断やレッテルを張られることにつながりかねないと言う。

しかし、オーストラリア地域評議会 (Community Council for Australia) の最高責任者で、オーストラリア精神保健委員会 (Mental Health Council of Australia) の元会長、ディビッド・クロスビー氏は、現行の精神医療を脅かす存在であるがために標的にされているとし、「パトリックやイアンに対し、私には尊敬の念しかない。彼らは自分たちの役割だけにとどまらず、なんとか変化を起こそうと頑張っている。この分野の他の人たちがメンタルヘルスをより良い方向に導くための改善を支持しないのは残念なことだ」と彼は言う。

また、もう一人のマクゴーリ支持者であるSANE オーストラリア (SANE Australia) のバーバラ・ホッキング事務局長は、自分に関わりのないサービスも含め、彼はこの分野全体の資金獲得に尽力したと言う。

早期介入プログラムのための資金は、予算をオーバーしていたベター・アクセス・スキームへの配分を削減することから捻出されており、従来はGPや精神分析医、ソーシャルワーカーなどを通して提供されていたものである。

この削減には、オーストラリア医師会、オーストラリアGP学会ならびにオーストラリア心理学会が反対し、不安症やうつ病の人にとって治療費が高額になり過ぎると主張している。

ヒッキ―教授や、同じく政府の作業部会に属するディビッド・カッポ司祭 (Monsignor David Cappo) は、ベター・アクセス・スキームに反対だ。予算配分に先立ち、マクゴーリ教授とともに彼らはメンタルヘルス改革の青写真を公開したが、そこに並べられていた30項目の「お買い得品」の中に、ベター・アクセスは含まれていなかったのだ。

一方、カウンセリング心理学協会 (Association of Counselling Psychology) のベン・マリングス (Ben Mullings) 会長は、政府作業部会のパネリストが直接の資金受益者である場合、それは独立した存在とは言い難いとする。

またビクトリア・メンタルイルネス・アウェアネス評議会 (Victorian Mental Illness Awareness Council) のイザベル・コリンズ会長は、マクゴーリ教授の若者への献身ぶりには敬意を表するとしながらも、その他の年齢層が軽視されているように思うとした。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆


◎ "headspace" や "early psychosis prevention and intervention centres" を立ち上げたマクゴーリ教授らが言う精神病のリスクがある若者を対象とした早期介入 (支援) にまつわるエビデンスは、誇張されたものである
きわめて憂慮すべきは、彼ら専門家であるロビイストたちの言うことに政府が耳を傾け・・・・彼らが推奨しているプログラムは、自分たちが個人的にも大規模な投資をしているプログラムであり、またそこに示されているエビデンスには明らかな誇張があり・・・・甚大な利益相反である
- メルボルン聖ビンセント病院精神科部長

◎ オーストラリアの取り組みは「検証なき大規模公衆衛生実験である・・・長期のベネフィットに関するエビデンスもほとんど存在しない
- DSM Ⅳ作成委員会議長

◎ マクゴーリの仕掛けた客寄せマシーンは、オーストラリアの状況を歪めた・・・・イギリスには、こうした子供や若者に対するオーストラリアの精神医療の在り方を、まったくの狂気の沙汰であると見る人たちもいる
- メルボルン国立小児病院精神衛生部元部長

◎ 早期介入に小さく焦点を当てすぎているがために、若者が過剰に薬物治療を受け、早まった診断やレッテルを張られることにつながりかねない
- ロイヤル・オーストラリアン・アンド・ニュージーランド・カレッジ・オブ・サイカイアトリスト前学長

◎ 政府作業部会のパネリストが直接の資金受益者である場合、それは独立した存在とは言い難い
- カウンセリング心理学協会会長


高まる早期介入批判のうねり
少なくともメジャーメディアがしっかりと精神医療の「早期介入」問題を取り上げ、議論の余地を国民に与える早期介入の本拠地オーストラリア。

一方、早期介入「支援」が若者や子供を救うかのような信仰(カルト)に洗脳され、権威に騙され続ける医療従事者を含めた日本人。


あ~ぁ、こうした記事を日本のマスコミが取り上げるだけの健全さがあれば、精神衛生上も多少は良ろしかったかと。
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テーマ : 統合失調症
ジャンル : 心と身体

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