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米 ニューヨークタイムズ紙に学ぶ 「こころの薬」の裏事情 2/4

2/4


NEW YORK TIMES

"Side Effects May Include Lawsuits"

By DUFF WILSON
Published: October 2, 2010

http://www.nytimes.com/2010/10/03/business/03psych.html?_r=2&pagewanted=2

登録が面倒な人はこちらで
http://www.nyaprs.org/e-news-bulletins/2010/2010-10-04-NYT-MH-Drug-Side-Effects-May-Include-Lawsuits.cfm

≪全訳≫ 2/4

訴訟問題も副作用?

現在アストラゼネカ社を相手取る訴訟中の弁護士によれば、同社の新薬が糖尿病や体重増加を起こすリスクのあることを会社が隠そうとしていたことを示す書類を入手しているという。
有利な研究を誇大に宣伝し、マイナスになる研究は表面に出さないことを示す文書である。

民事訴訟で明らかにされたアストラゼネカ社の社内メールには、1997年、当時の新しい抗精神病薬であるセロクエルのユーザーが1年で体重が11ポンド増加した事を示す研究結果について、『埋められた (まま)』と部長のメールに表現されている一方で、アストラゼネカ社はセロクエルで体重が減少したとする研究を宣伝していたのである。

また、都合の悪い研究に対して、『実に巧妙なトリック』(まま)を使ったとする社内メールもある。

当時のアストラゼネカ社広報部長、ジョン・トゥマスの1999年のメールには、「もっと大きな問題は、われわれの情報隠しに対して外部から批判の声が上がった時にどう対処するかだ」とも書かれていた。
そして「(薬を売るのに)マイナスになるような研究結果に世間の目を向けない方法をさがすことが必要」とも付け加えている。
「しかし、これはあくまで私の意見だが、隠してしまうのは無理だ」

アストラゼネカ社のスポークスマン、トニー・ジュエルが先週語ったところでは、承認審査の一環としてそうした資料はすべてF.D.A.(米食品医薬品局)に引き渡されており、ここ何年かは常にラベルを更新して最新の安全情報を提供しているとする。

かつては製薬企業数社から収入を得て講演活動をしていたものの、のちに政府に対する情報提供者となり、現在は製薬企業を訴える原告側のコンサルタントを務めるハーバート大卒の精神科医、ステファン P.クルシェフスキー博士。
製薬企業側にいた時代は、抗精神病薬の支持者としてファイザー社、グラクソスミスクライン社のための講演活動が仕事。
製薬企業のどれか一つの薬について個々の医師に話をするだけで、一人につき報奨金1,000ドル以上のオファーがあったと彼は言う。

「私が製薬企業のために講演をするようになったのは1980年代後半から90年代前半ですが、その頃は自分が語るべきだと考える科学的に筋の通った話を自由に話すことができたのです」と、振り返る。
「ところがそれがもはや許されない状況になったのです。
スライドを渡されて、『これを30分間話してくれたら1,000ドル払おう』ときたわけです。
私はこう返しました-「そんなこと言えるわけないだろう。事実じゃないじゃないか」と。

「渡された新しい抗精神病薬のスライドは、神経学的副作用はないと主張するものでした。
すべて製薬企業の作り話だったのですよ」と、クルシェフスキー博士。
「そんな事実はどこにもなかったのですから」

多数の大製薬企業には自由裁量が与えられているため、規制に関しても抗精神病薬は緩やかなルートを見つけることができた。

安全性や有効性が立証されていない症状に対して製薬会社側が薬の使用を働きかけることは禁止されているものの、製薬企業から報酬をもらったコンサルタントや研究者、教育者らが口頭でそれを伝えること、また製薬企業の資金で行われる研究で企業の代弁をすることは許されている。

「医者がそれとなく匂わせる、すると人々がそのエサに飛びつくのです」。そう語るのは、エール大医科大学で精神医学と公衆衛生の教授を務め、製薬企業や連邦機関から研究助成を受けた経験もあるロベルト・ローゼンヘック博士。
「精神障害というものは、いかようにも拡大解釈できるようにあえてあいまいに定義されているのですよ」と、彼は言う。
「ですから、どれだけ多くの全く効果のない治療があっても、みなさんは進んでなんでも試されるわけですね」

医師は、たとえそれが対象とする特定の疾患に対して承認されたものでなくとも、承認された薬でさえあれば、自由に処方することができる。
タフツ大学の精神科准教授、ダニエル J. カーラット博士は、「承認されているわけですから、医師が他に選択肢を思いつかない場合は代替薬となります」と言う。
「それが有効か否か、それは未知数です」

目の前に利益がぶら下がり、あいまいな精神疾患、そして規制上の抜け道…とくれば、そこには商売上の不正行為が必ず起こるとアナリストは言う。

「テーブルの上に多額の現金が積まれ、メンタルヘルスの症状に関しては不確実、一方で血液検査も客観的なテストもない-という、誰でも不正に走る好条件がそろっている」。コロンビア大学精神医学教授であり研究者であるマーク・オルフソン博士はそう語る。

最近の裁判や議会調査で提出された文書は、著名な専門医師が製薬企業から多額の資金援助を受けて抗精神病薬を使用することを拡大していたことを示している。

その最もよく知られる例が、ハーバードの医学部教授でありマサチューセッツ総合病院の研究者でもあるジョゼフ・ビーダマン (Joseph Biederman)である。
児童の双極性障害有病率を調査した彼の研究は、その後の医療基準の拡大を助長し、その結果、双極性障害と診断される子供の数が1994年から2003年までの間に40倍にも増加した。
この数字は2007年、総合精神医学文書に報告されたものである。

また彼は2000年から2007の間に、双極性障害と診断される子供に処方される薬を販売する製薬企業を含む数社から、講演料やコンサルタント料として160万ドル(その一部は大学側に開示されていない)を受け取っていたことが2008年の上院調査からわかっている。


- つづく 


(検索用)

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